税務のマメ知識

中小企業の経営者の高齢化が急速に進む中、円滑な代替わりを促すため10年間の特例措置として「事業承継税制」が拡充されました。

現行制度では非上場の自社株式を後継者が引き継いだ際に発生する贈与税や相続税が、その後継者や相続人には大きな負担となっていました。そこでその問題を解決し、できるだけスムーズな事業承継を後押しするために、一定の要件のもとで贈与税や相続税の納税が猶予される制度が、2018年度の税制改正によって大きく変わりました。

中でも重要なポイントは2つあります。1つ目は、2023年3月31日までに「特例承継計画」を都道府県庁に提出すると2027年12月31日までに限り、自社株式の贈与や相続の際にかかる贈与税と相続税が一切かからない仕組みになったことです。

2つ目は、雇用の要件が実質的に撤廃されたことです。改正前の制度では納税を猶予されても5年間平均で雇用者数の8割を維持することが義務付けられていました。それができなければ猶予された贈与税と相続税の全額を納付しなければなりませんでした。しかし、今回の改正により実質的にこの要件が撤廃され、リスクが大幅に軽減されたのです。

わずか10年という限られた期間ですが、中小企業の経営者にとっては事業承継について考える絶好のタイミングではないでしょうか。

税務のマメ知識

【消費税が課税されない取り引きとは】

 1989年4月1日に導入され今ではすっかり定着した消費税は、商品の販売やサービスの提供などの取り引きにかかる税です。現在の消費税率は8%ですが、その内訳は国税の消費税(6.3%)と地方税の地方消費税(1.7%)となっています。

このように消費税は日本国内において行われる商行為に対して課税されますが、一定の取り引きについては消費税の性格や社会政策的な配慮などから非課税となっています。

その代表的な取り引きのひとつに土地の譲渡や貸し付け(一時的なものを除く)などがあります。 土地は建物と異なり劣化しないため「消費」という概念にそぐわないので課税はされません。

また同じような観点から利子、保証料、保険料や印紙などの譲渡、住民票や戸籍抄本等の行政手数料などについても非課税とされています。

さらに国民の健康・社会福祉・教育分野においては社会政策的な配慮から社会保険医療、介護保険サービス、一定の要件を満たす各種学校の授業料、住宅の貸し付け(一時的なものを除く)などについても非課税とされています。このように一見すると全ての取り引きやサービスについて課税されるイメージの消費税にもいくつかの例外があるのです。

2019年10月1日から税率が10%になる予定の消費税ですが、私たちの生活にはどのような影響を及ぼすのでしょうか。

税務のマメ知識

【賃上げと社員教育をすると税額控除に】

 「新たな人材が欲しいところですが、業界全体が人手不足で今すぐに人を増やすことは難しい状況です。

そのため会社としては、従業員教育に力を入れて生産性を向上させつつ、徐々に新たな人材を確保していけたらと考えています。そこで、このような経営強化を支援してくれる税制などがあれば活用を検討したいため教えていただけないでしょうか」というご質問がありましたので、改正のあった所得拡大促進税制をご紹介いたします。

中小企業者等では「給与総額が前年度以上」で「継続雇用者給与等支給額が前年度比で1.5%以上増加」した場合、給与等支給総額の前年度増価額の15%の税額が控除されます。また継続雇用者給与等支給額が対前年度比で2.5%以上増加しており「当期の教育訓練費が対前年度比10%以上増加」または「中小企業等経営強化法による経営力向上の認定を受け経営力向上が確実になされている」といった要件のいずれかを満たす場合には、25%の税額が控除されます。

ただし税額控除の上限はいずれも法人税額の20%になります。例えば25%の税額控除の要件を満し今期の給与等支給総額が1500万円、前期が1200万円で法人税が250万円の場合、対前年増加額300万円の25%である75万円が税額控除の対象となりますが、上限が法人税額の20%になるため税額控除額は50万円になります。

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【確定申告を忘れるとどうなるの?】

 個人の確定申告は、前年分を翌年2月16日から3月15日までに申告します。では確定申告を忘れて、この期間内に申告をしなかった場合はどうなるのでしょうか。期間内の申告忘れには「還付申告」と「期限後申告」の2つがあります。

サラリーマンのように会社が年末調整を行い、医療費控除などのように年末調整の処理ができない税金を還付してもらう「還付申告」であれば、5年さかのぼって申告ができます。

一方、個人事業主が確定申告を忘れたといったケースは「期限後申告」になります。この場合は本来納めなければならない税金の他に無申告加算税や延滞税がかかります。無申告加算税は原則として納付すべき税の15%(一定以上は20%)が課されます。 なお、自主的に期限後申告をした場合は、無申告加算税が5%に軽減されます。

また何かの手違いなどで申告を忘れていたような場合には、無申告加算税が課されないこともあります。そのためには、期限後1カ月以内に自主的に申告が行われていること。納付すべき税金を法定納期限までに納付(口座振替の場合は期限後申告を提出した日まで)していること。過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されていないこと。さらに過去5年以内に無申告加算税が免除になるこの制度を使っていないこと。などの要件を満す必要があります。

 

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【「印紙税」で紙の通帳がなくなる?】

 印紙税は経済取引に際して作成される文書に課される税です。課税されるものには色々あります。所得税や法人税のように生み出される所得に課税されるもの、贈与税や相続税のように財産に対して課税されるもの、消費税や酒税のように消費などに対して課税されるものなどがあります。

平成28年度の国の税収は約55兆円でした。そのうち印紙収入は約1兆円で1.8%を占めています。印紙税は私たちが持っている通帳においても課税されています。金融業界は近年の低金利によって収益が悪化しているため、一層の経費削減を目指さなければなりません。そのため年間約700億円かかる印紙税を、ペーパーレス化することによって削減するという動きがあるようです。

銀行などにとって、ITと金融サービスを融合したフィンテックの発展によりペーパーレス化などがすすむことは、印紙税や発行コストなどの削減と事務作業の軽減といったメリットがあります。一方、利用者は通帳を持ち歩く必要がなくなったり、スマホなどから入出金情報をリアルタイムで確認することができるといったメリットがあります。しかし、将来は紙の通帳の発行を希望すると手数料が発生することになるかもしれません。

今後、ITやAIなどの発展によりさまざまなことが変化し、それに伴い税制も変化していくことになるでしょう。

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