税務のマメ知識

【「法人成り」した場合の注意点は?】

 

個人事業主が株式会社などの法人を設立し、その組織の中で現在の事業を引き継いで行っていくことを一般的に「法人成り」といいます。先日、飲食店のオーナーから「法人成りを考えていますが、具体的な注意点を教えていただけないでしょうか」という質問がありました。

「法人成り」をした年の所得税の確定申告では「個人事業の廃止」「個人資産の法人への引き継ぎ」「法人からの給与の支給」など、さまざまな所得が発生し確定申告が大変複雑になります。例えば棚卸資産を法人へ譲渡する場合、通常の販売価額の70%未満で譲渡すると低額譲渡に該当します。その場合には、譲渡した販売価額と通常の販売価額の70%に相当する金額との差額を総収入金額に算入しなければなりません。

また個人事業主のままであれば翌年の必要経費となる事業税を、特例的に見込み額で廃止年分の必要経費に算入できるなど特殊な取り扱いも生じます。その他では、例えば棚卸資産以外の土地建物を法人に譲渡すれば「分離課税の譲渡所得」、車両や備品などの固定資産であれば「総合課税の譲渡所得」として税金の計算を行います。

さらに法人化後は、法人から給与を受け取るため給与所得なども生じます。このように個人事業を法人化する際には、通常の年とは異なる特殊な取り扱いが発生することが注意点となります。

税務のマメ知識

【住宅ローン控除制度の問題点と今後】

 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)制度が今の低金利時代に合っていないという指摘があり、政府が見直しを検討しているようです。住宅ローン控除とは、新築など一定規模の住宅を取得しようその資金を銀行などから借り入れした際、ローンの借入残高の1%を限度として所得税額から控除を受けられる制度です。

この制度の役割としては、住宅ローンの返済負担を軽減させることでその後の生活不安を解消し、スムーズに事を運ぶことができる「住宅投資の喚起効果」であったり、住宅の取得に伴う家電や家具などの耐久消費財の購入による「景気の刺激効果」などがあります。

しかし、今の低金利時代において現行の借入残高に対して1%の所得税が控除されるという仕組みは、時代に合っていないとの見方があるのも事実です。現実的には住宅ローンの金利を1%未満で借りている人も多く、支払利息の負担を軽くする制度だったのが、実のところ支払利息を住宅ローン控除の額が上回る「逆ざや」になる現象が起きてしまっている場合もあり、これが問題視されるようになりました。

2020年に一度、見直しが検討されたものの現状のままで据え置かれました。しかしながら上記のような実態を踏まえて、近い将来は住宅ローン控除制度が本格的に見直しされるかもしれませんね。

税務のマメ知識

【税務署はタンス預金をお見通し?】

 個人的な財産について、税務署はどの程度まで把握しているのだろうか。このような疑問を抱いたことはありませんか?不動産や預金、株などは法務局や銀行、証券会社に問い合わせれば容易に把握できますが、タンスの中の現金までは分からないだろうと思っている人は多いのではないでしょうか。ところが、これがそうでもないのです。

国税庁では適正かつ公平な税金の負担や、その徴収の実現のために申告書の収受や処理、納税者の管理、調査・指導、資料情報の収集や管理、税務に関する相談などといった一連の業務について「国税総合管理(KSK)システム」を使っています。これは全国の国税局と税務署をネットワークで結び、情報を一元的に管理するシステムです。私たちの収入や財産は、給与の源泉徴収票や毎年の確定申告により把握されているのです。

例えば、ある家族に相続が発生した場合、被相続人(亡くなった人)の生前の収入からすると2億円ほどの財産があってしかるべきだとKSKシステムが予想したのに対し、申告書には1億円と記載されていたとします。被相続人が生前に使ってしまったのか、またはタンス預金などで1億円ほど隠し持っているのか。それを確かめるために税務調査官が出向いて真実を追求する流れとなります。悪いことはできない仕組みになっているようですね。

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【会社に飾る絵画は経費で処理できる?】

 

「会社に飾るため地元の作家の絵画を購入しようと考えています。絵画は経費として処理してよいのでしょうか」という質問がありました。

事業などの業務のために用いられる資産で、建物や備品など時間の経過によってその価値が減っていく資産を減価償却資産といいます。絵画や彫刻などの美術品が減価償却資産に該当するかに関して、2015年以後に取得するものから新しい取り扱いが適用されています。それ以前は1点20万円(絵画は号当たり2万円)以上かどうかなどで判定されていましたが、実態と照らし合わせて改正後は1点100万円未満である美術品は原則として減価償却資産に該当し、100万円以上のものについては非減価償却資産として取り扱います。

ただし、金額に関係なく時間の経過により価値が減少することが明らかなものは減価償却資産として、逆に価値が減少しないことが明らかなものは非減価償却資産として取り扱われるため注意が必要です。倉庫などに保管されている絵画などでも維持管理がされており、いつでも展示できる場合は減価償却資産の対象となります。

また「何年で償却するか」という法定耐用年数は、金属製の彫刻などは15年、それ以外の彫刻や絵画、陶磁器などは8年です。ちなみに絵画の場合、額縁の費用についてもその絵画の一部として取得価額に含められます。

税務のマメ知識

【少数株主の権利とその対策について】

今回は、少し税務から離れて「株式」について考えてみましょう。2006年5月に新会社法が施行されましたが、基本的に株主より相対的に立場が弱い債権者保護に重きを置くものでした。と同時に、株主の中でも株主総会の多数決で必ず負けてしまうような「少数株主」の権利も拡充されました。

これにより少数株主でも経営者にとって脅威となることがあります。少数株主の権利には株主総会提案権・帳簿閲覧権・取締役等の解任請求権・株主総会招集権などがあり、それらを行うための要件には議決権数と株式数、保有期間があります。

具体的な例を挙げると、会社の帳簿を閲覧するには「総株主の議決権の3%以上または発行済株式総数の3%以上」の株式を所有していればよく、株式の保有期間の定めはありません。また株主総会を招集するには「総株主の議決権の3%以上」の株式を所有し、それを行う前に6カ月以上の保有期間があればOKです。このように少数株主でも会社に対して色々な権利を行使することは可能となりました。

これらの対策としては「新たな少数株主を生まない工夫」「少数株主からの株式の買い取り」「会社の実情に合わせて発行できる種類株式の活用」などがあります。すでに少数株主が存在している会社は、どのような権利やリスクがあるのか具体的に確認しておきましょう。

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