阪本司法書士事務所 令和元年12月

【今月のテーマ】「法定後見制度」と「任意後見制度」について

 

◎『成年後見制度(法定後見・任意後見)講演会』に参加しました

 

去る11月26日(火)の午後1時半から3時まで、高山市図書館「煥章館」にて、高山市役所が主催で、講師に高山公証役場の公証人 金子寛志先生をお招きしての後見制度の講演会があり、私も改めて勉強したいという思いがあって、参加してまいりました。

平日の昼間にもかかわらず、約20名の参加者があり、金子先生の資料を交えてのご講演も大変分かりやすかったですし、講演終了後の質疑応答時間には活発な質問も出ました。その質問内容を伺うことで、一般の方は後見制度についてどんなことを疑問に思ってみえるのかを知る参考になり、今後の業務に大いに役立つ有意義な時間となりました。

さて、法定後見も任意後見も、制度の趣旨は、本人の財産や権利を守ることです。

不動産にしろ、預貯金にしろ、財産を維持・管理・処分する際や、施設や病院の入退所はもちろん、日常生活における様々なサービスを受ける際には、「契約」が必要になってきます。また、そういった身近な「契約」の他、「遺産分割協議」や「時効の援用」「弁済」といったものも「法律行為」に含まれ、必ず本人の「意思能力(判断能力がきちんとあること)」が必要なので、もし本人の判断能力が衰えて、意思表示が有効に出来ない場合は、誰かが代わりに行う必要が生じます。ですが、誰でも自由に代理人になれるとすると本人の保護に欠けるので、代理人(=後見人)として、きちんと適任者を選任した上で、後見人が悪いことをしないように「後見監督人」をつけ、後見監督人を通じて家庭裁判所が間接的に後見人を監督する制度が「後見制度」です。

「法定後見」と「任意後見」の大きな違いは、制度を利用する際の本人の判断能力の有無と、後見人を誰が決めるのか、の2点です。判断能力がしっかりしているのであれば、「任意後見」を利用でき、この場合は後見人を自分で選ぶことができます。既に判断能力が衰えている場合は「法定後見」の制度を利用することになり、後見人は家庭裁判所が選任します。

 

これらの後見制度は、平成12年(2000年)からスタートし、現在約20年が経ったわけですが、まだまだ一般的には馴染みが薄いですし、いざ制度を利用しようと思った時に、手続き面でも費用面でも、ハードルが高い感が否めません。今後、ますます高齢化社会が進行していく中で、後見制度の必要性が高まっていくことが予想されますし、もっと身近で利用しやすい制度になっていくと良いですね。

 

さて、今年も残すところ、あとわずかとなりました。阪本会計事務所のお客様におかれましては、当職も大変お世話になりまして、誠にありがとうございました。来年も相変わらぬご愛顧を頂けますようお願い申し上げて、歳末のご挨拶とさせて頂きます。

所長の一言 令和元年12月

今年もあとわずかとなりました。毎年この時期に税制大綱(税法の改正案)が発表されますが、12月12日に令和2年度税制大綱が発表されました。改正案がいくつかありますが、その中で『寡婦(寡夫)控除』について説明します。

未婚のひとり親を支援するため、配偶者と死別(行方不明)・離婚したひとり親に適用される「寡婦(寡夫)控除」の対象が広がる案です。現在、寡婦控除は男性だけに年間500万円以下の所得制限が設けられていますが、男女間の格差をなくす観点から、女性にも同様の制限が設けられます。

図示すると下記のようなイメージです。

現状 対象 → 婚姻歴ありのみ 改正案 対象 → 婚姻歴あり+未婚

女性

所得制限なし

所得税の控除額35万円

女性 所得500万円以下

所得税の控除額35万円

男性

所得500万円以下

所得税の控除額27万円

男性 所得500万円以下

所得税の控除額35万円

また、大きな変更点として、現状では婚姻歴がある人のみが対象となるのに対し、改正案は婚姻歴のないひとり親も対象(住民票で事実婚であることを届け出ている場合は対象外)となる点です。

家族の形態の多様化、女性の活躍の機会が増えたこと等を背景として、今回の改正案が出されましたが、制定当時と現在では社会情勢や生活スタイルが大きく変わってることもあり得るので、現在の状況を鑑みながら法律を変更していくことはよいことだと思います。

【令和2年度の改正として】

・基礎控除が38万円から48万円へ引き上げられること

・給与所得控除については65万円から55万円へ引き下げ(給与等収入が180万円以下の方)

・青色申告特別控除が電子申告、又は電子帳簿保存によらない場合は現在65万円控除から55万円控除に引き下げられる等の改正が行われますので、それに向けての準備をしていく必要もあります。

 

本年も1年間大変お世話になりありがとうございました。来年も皆様の商売が益々繁盛されますことを祈念しております。2019年は元号が変わり、消費税率も変わり、変化の1年であったように感じます。来年は変化というよりは、安定した穏やかなの年であればと個人的に願っております。

 

阪本司法書士事務所 令和元年11月

【今月のテーマ】『過去の相続登記からもれてしまった土地について』

◎「固定資産税課税明細書」に記載のない土地がある?

最近、あるお客様(Aさん)からご相談があった相続登記に関する話題をご紹介します。

Aさんのお宅の先祖代々のお墓が、以前は高山市郊外の山の中にあったのですが、最近になって、管理面など色々な事情から、町中の菩提寺境内にある墓地に「お墓の引越」をされたそうです。Aさんは、自分名義の複数の不動産を他にもお持ちですが、以前は「固定資産税課税明細書」にここの土地は載っていなかったのに、最近になって急に載ってくるようになって、疑問に思っていたそうです。実は、この土地にお墓があった時は「墓地」として非課税扱いだったので課税明細書に載らなかったけど、お墓がなくなれば「墓地」ではなくなるので課税対象となり、課税明細書にも載ってくるようになった、というわけです。

さて、お墓があった土地の登記情報を調べてみると、名義はAさんの祖父(明治生)のままでした。今でこそ、不動産の所有者や納税義務者の情報は、市の税務課がコンピューターできちんと管理していて、相続登記をする際に、被相続人名義の不動産をもれなく全て把握することは簡単ですが、昔は紙の台帳で管理していた時代でしたから、なかなか大変だったのでしょう。祖父名義の土地で残っているのはここの1筆だけで、他の土地はきちんと相続登記が済んでいますから、墓地として使用されている間は非課税だったこの土地は、課税明細書に載っていなかったことが原因で、相続登記すべき不動産からもれてしまったと考えられます。

 

◎共有林や道路(私道)も要注意!

高山では、地域の住民が共同で近隣の山林を共有している場合がよくあります。また、自宅前に敷設した道路は、道路に面しているご近所さん数人で共有名義にしてある、というケースもあります。こういった共有不動産の場合、固定資産税課税明細書は共有者のうち、届出されている代表者1名に送付されるし くみなので、注意が必要です。

不動産の所有者が亡くなって相続登記をしようと思うが、被相続人の不動産は、固定資産税課税明細書に載っているものが全てだと思い込んでいた相続人が、調べてみると、実際は共有林や共有道路があることが判明し、驚いた…という事例は珍しくありません。

 

◎もれなく所有不動産を把握する方法は?

所有している不動産が、固定資産税課税明細書に載っている不動産だけとは限らないことは、前述したとおりです。では、もれなく把握するにはどうすれば良いのかといいますと、登記をする際の必要書類「固定資産評価額通知書」を市の税務課に申請する際に、「被相続人名義の不動産全部(共有も含む)」と申請することです。

所長の一言 令和元年11月

8%?10%?一体どっち・・・?」判断に迷う食料品の消費税について

 

11月も下旬となり、そろそろ年の瀬の足音がきこえる季節となりました。

年末も近づくと、今年はおせち料理をどうしようかとチラシや広告を眺める機会も増え、子供の頃、おもちゃ屋のチラシでクリスマスプレゼントを眺めていた時のようなワクワク感を感じるのは私だけでしょうか?

 

さて、おせち料理といえば、「我が家は全て手作り」という方もいらっしゃるかとは思いますが、お店のおせち料理を購入する場合は、基本的にお店で購入し、家で食べる商品ですので、消費税は軽減税率が適用され、税率8で購入することができます。ただし、「料理+高価な重箱」のように、食品とある商品がセット販売されているとみなされるような場合は、「一体資産」に分類され消費税10で課税される可能性があります。

国税庁のお知らせに、『軽減税率(8%)の対象品目として、飲食料品と一体資産が含まれ、一体資産とは、おもちゃ付きのお菓子など、食品と食品以外の資産があらかじめ一体となっている資産で、そのうち、税抜価額が1万円以下であって、食品の価額の占める割合が2/3以上の場合に限り、全体が軽減税率の対象となる』という記述があります。

なんだか分かりにくい説明ですが、この理論に当てはめると、おせち料理も簡易的な包装材料で販売する場合は、軽減税率8%が適用される。ただし、おせち販売でよくみかける、「高級重箱入(例えば、飛騨春慶塗重箱や九谷焼重箱etc)」をうたって販売する場合は、おせち料理という食品を販売する場合でも、消費税率は10%になることが判断できます。

これは食品と抱き合わせて、販売効果や節税効果を狙う可能性を封じた対策であるとは考えますが、相変わらず基準が分かりにくく、曖昧感は否めません。

以上のように、例え軽減税率対象品目の飲食料品でも、販売する際の容器・包装材料によっては、軽減税率対象外になりますので、ご注意ください。

 

ちなみに、皆様ご存知「グリコのおまけ付きキャラメル」の適用消費税率を調べたところ、この商品は「一体資産」にあたりますが、おまけの価格が1/3以上と推定されるため、10%適用説が有力でしたが、見解によっては軽減税率適用説も見受けられ、複雑な心境になりました。

阪本司法書士事務所 令和元年10月

【今月のテーマ】『成年年齢引下げについて』その2

◎「成年年齢の引下げ」による懸念について

令和4年(2022年)4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に変わることは、既に皆様もご存知かと思います。これによって、具体的に何が変わっていくのか、何に気を付けるべきかを、考えてみたいと思います。

 

(1)18歳から契約当事者になる

・・・現在は20歳未満の未成年者が契約をしても取り消しができますが、成年年齢引下げ後は、高校3年生でも18歳なら「成人だから」と契約取り消しができなくなるのです。

 

(2)18歳からクレジットカードの申込みができる

・・・未成年者であれば親権者の同意が必要ですが、成年年齢引下げ後、18歳になれば親の承諾なしでクレジットカードの申込みができます。若い世代のクレジットカードによる多重債務・自己破産が益々増えるのではないかと懸念されています。

 

世の中では今現在も悪徳商法が後を絶たず、あの手この手で増えているのが現状ですし、若い世代を狙った「デート商法」などのように、半ば詐欺のような手段で契約を強要するケースも少なくありません。

人生経験が少ない若い人は、このような悪徳商法を見分ける能力が低いので、易々と引っかかってしまうことが多いのです。 特に最近はインターネットを使った詐欺商法が増えており、「ワンクリック詐欺」などがその例と言えます。

また、就職を意識し始めた大学生や高校生に対し、「資格商法」などの詐欺も発生するでしょう。現在、20代の方がこういった悪徳商法のターゲットとして被害に遭っているのですが、成年年齢が引き下げられると、悪徳商法のターゲットが広がることが心配されます。

 

◎「教育で対応」って言うけれど…

このような不安に対し、政府は「教育で対応」と述べているようです。

具体策としては、高校生に注意を促すため学校内に掲示するポスターや、教員から生徒に注意を促してもらうためのチラシを作成して配布したり、校内で消費者教育に関する講習会を実施したりしていくようです。

私はこういった対策が役に立たないとは思いませんが、若者をカモにしようと狙っている悪徳商法業者からの被害を、完全に防げるとも思えません。

皆様はこの問題について、どう考えられますか?

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