所長の一言 平成31年3月

今年も個人のお客様の確定申告提出期限3月15日を無事に終え、ホッとしているところです。

 昨今、社会全体が高齢化するなかで、今後10年の間に平均引退年齢である70歳を超える中小企業の経営者は約245万人となり、そのうちの約半数が後継者未定とされており、後継者不足が深刻化しています。そのような背景を踏まえ、事業を引き継いでくれる次世代に税負担を軽減させる観点から、平成31年度税制改正大綱では、「個人事業者の事業用資産に係る納税猶予の創設」として以下のような内容が提案されています。

認定相続人が平成31年(2019年)1月1日から平成40年(2028年)12月31日までの間に、相続等により特定事業用資産を取得し、事業を継続していく場合には、担保の提供を条件に、その認定相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した特定事業用資産の課税価格に対応する相続税の納税を猶予する。ただし、この納税猶予制度と特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例とは、選択適用とする。

この注意点としまして、

①前提として“承認計画”という事業承継を行う前後の事業計画等が記載された計画が必要であること。

認定相続人という、その承認計画に記載された後継者に対しても納税猶予が可能であること。

③相続税法上有利な特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例との併用はできないこと。

があげられます。

 最大の注意点として、この制度でも、法人の後継者に対しての納税猶予制度である「非上場株式等に係る事業承継税制」でも言えることですが、『納税猶予』とはあくまで納税を先送りしているだけであり、決して納税額がゼロになるわけではありません。必要な要件が外れれば、贈与税等の重い税負担がのしかかってくるので、納税猶予制度は、慎重に精査し進めていかなければならないのです。

阪本司法書士事務所 平成31年2月

【今月のテーマ:『120年ぶりの民法大改正について(その9

 

民法が大改正される中、相続に関する規定(以下、相続法)も大幅に見直されることになりました。今回の相続法の見直しは、高齢化社会の進展等に対応するもので、多岐にわたる改正項目が盛り込まれています。

今号では2019年7月1日から施行されることが決まった相続法の改正点について、その概要を4つに分けてざっくりとご紹介いたします。

 

1.遺産分割等に関する見直し 

①配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示推定規程)

②仮払い制度等の創設・要件明確化

③遺産の分割前に遺産に属する財産を処分した場合の遺産の範囲

 

2.遺留分制度に関する見直し 

遺留分権の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が生じるものとしつつ、受遺者等の請求により、金銭債務の全部又は一部の支払につき裁判所が期限を許与することができるようにする。

 

3.相続の効力等に関する見直し 

法定相続分を超える権利の承継については、登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないようにする。

 

4.相続人以外の効力等に関する見直し  

相続人以外の被相続人の親族が、被相続人の療養看護等を行った場合には、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭請求をすることができる制度(特別の寄与)を創設する。

 

改正法に関して個別の内容まできちんと把握することは、専門家でもかなり大変です。ここでは「相続に関する法律も、大幅に見直されることになるんだなぁ」という事だけでも、知っておいていただければ結構です。

 

次号では、2020年4月1日から施行されることが決まった「配偶者居住権・配偶者短期居住権」についてご紹介したいと思います。

 

所長の一言 平成31年2月

建物の価値とは<減価償却について>

 

いよいよ確定申告が始まり、平成30年分は2月18日(月)~ 3月15日(金)までが申告期限です。昨年1年間の個人の収入・支出を計算して、確定申告書を作成していきますが、建物を売却したという案件をほぼ毎年目にしています。

建物は資産であるとよく言われますが、確かに、自分の私財を投じて購入するので、例えば現金預金で自宅を購入した場合、現金預金が姿を変え、建物という勘定になり資産に上げられます。

ただ、購入した建物も住んでいるうちに価値が目減りし、現在の実質的な価値を算定する際に使用するのが『減価償却』という概念です。減価償却とは、固定資産の価値を減らしていく考え方で、購入した建物を木造住宅であれば22年でゼロに近づけていきます。2,200万円で購入した木造住宅なら、11年経ったら半分の1,100万円の価値、22年経ったらゼロという具合で評価していきます。

11年経った建物を1,500万円で譲渡した場合、400万円の譲渡益が発生するので、確定申告する必要が出てくるのです。

興味深いのが、財務省のホームページでも紹介されている主要国の減価償却制度の概要に、イギリスでは建物が減価償却不可となっていることです。イギリスの建物は、レンガ造りや石造りで頑丈で、築100年を越えるものが多いという国柄のため、価値は減少せず、骨董品や美術品のように時間を経過するほど価値を増すという考え方からなのかもしれません。とても優雅な考え方であると感じます。

ただこれを日本にあてはめてしまうと、いつまでも建物の価値は減らないため、固定資産税が高額のままであったり、建物が費用化できないという弊害があるので、混乱を招く可能性が大いにあります。

木造建築が主流の日本においては、使用によって価値が目減りしていくという考え方が必要で、日本には日本の、イギリスにはイギリスの土地柄によって、最適な評価がされているのでしょう。

 

(注:日本には築1000年を越えるような素晴らしい木造建築物も存在します。)

阪本司法書士事務所 平成31年1月

【今月のテーマ:『相続はお済みですか月間』のご案内

明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。

さて、日本司法書士会連合会と各都道府県の司法書士会では、毎年2月を「相続登記はお済みですか月間」と定め、相続登記の手続きを促す啓発活動の一環として、相続登記に関する無料相談会を開催しています。

相続登記は期限が定められていないため、手続きが遅れがちであるうえ、中にはそのまま放置していたり、うっかり忘れてしまう方もいます。しかし、相続した土地や建物を亡くなった人の名義のままにしておくと、いざ売るという場合や、担保に入れて融資を受けようとする場合などに、手続きが順調に進みません。

また、相続人が亡くなったり、新たな相続人が現れ権利が複雑化してしまうなどの事態が発生すると、時間も費用もかさむようになりますので、登記は早めにきちんと終わらせておくことが重要です。しかも、登記の手続きも個々の相続によって千差万別ですので、専門家にご相談いただくのが確実な方法です。

こうした背景から実施される「相続登記はお済みですか月間」ですが、平成31年2月1日(金)~平成31年2月28日(木)の期間中、全国各地の司法書士が無料の相談会を開催します。

もちろん当事務所でも、この期間中相続登記に関するご相談には無料で応じますので、どうぞお気軽にご連絡下さい。

ご相談は、面談でもお電話でも可能ですが、面談の際は事前に電話で予約をお取り頂けますよう、宜しくお願いいたします。

所長の一言 平成31年1月

年が明けての最初の所長からの一言です。本年もどうぞ宜しくお願い致します。

消費税の経過措置について

2019年10月1日より消費税が10%に引き上げられる予定です。

10月1日施行日を経過した取引については、基本的に10%の税率が適用されますが、経過措置が設けられている取引については、8%の税率が適用されます。

その中で、請負工事等を例にお話ししたいと思います。

請負工事等については、10月1日の施行日とは別に2019年3月31日が「指定日」として設けられており、3月31日以前に結ばれた工事の請負契約については、施行日を経過したのちにも8%で消費税を計算する必要があります。

ですので、建設業等を営んでいる事業者は、該当する工事売上等については、8%にて売上計上しなければなりません。また、購入者側は8%の計算で建築設備等を計算しなければいけませんから注意が必要です。契約によっては節税効果が高い取引ですので、近々設備投資をお考えの方は、早めに契約を結んでおかれると良いかもしれません。

ただし、上記の内容は、あくまで請負工事等にかかる措置ですので、例えば建売物件の購入や、マンションの分譲物件の購入等の契約には適用はありませんので、ご注意ください。

経過措置に係る取引はこれ以外にもいくつかあります。詳細は国税庁ホームページでご覧いただくか、また弊社までお尋ねください。

参考資料 国税庁配布資料リンク 資料4ページ③請負工事当をご参照下さい

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/h27kaisei.pdf

26年指定日は5%から8%に引き上げの際の指定日。

31年指定日は今回の指定日を指します。

※この記事は、2018年12月31日時点の法令を元に書かせていただいています。

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