阪本司法書士事務所 令和2年11月

今月のテーマ】『建物の登記について』(その3)

 

先月号では未登記家屋の問題点についてご紹介しましたが、今月は未登記家屋を相続した場合、手続きはどうするのかをご紹介したいと思います。

 

建物所有者が亡くなって相続が発生した場合、登記している建物であれば相続を原因とした所有権移転登記を法務局に申請すれば建物の名義を変えることができますが、登記をしていない未登記家屋の場合、相続した後の名義変更はどうしたら良いのでしょうか。

 

実は、正確な意味での「名義変更」は、日本の法律では「法務局で登記をすること」と定められている以上、本来は登記をするべきですが、固定資産税の課税台帳に登録されている名義を変える手続きは、市役所の税務課(資産税課)に「未登記家屋の所有権移転届出書」(自治体によって名称は異なります)を提出することで出来ます。

この手続きはあくまでも「未登記家屋として固定資産税の課税台帳に登録されている所有者の名義を変える手続き」に過ぎませんので、登記とは違います。つまり、未登記家屋であることには変わりありませんから、その建物を売りたい時や担保を設定したい時に、「この建物の所有者は私です」と第三者に主張することは出来ないのです。

 

また、この未登記家屋の名義変更手続きは、自治体によって扱いが大きく異なるので注意が必要です。高山市の場合は届出用紙を1枚提出するだけで、他に添付書類は何も求められず簡単に済みますが、最近実際にあった名古屋市内の未登記家屋の手続きは大変でした。

名古屋市の場合、法務局に相続登記の申請をするのと同様に、「被相続人や相続人の戸籍謄本一式」や「遺産分割協議書+印鑑証明書」といった「相続関係書類」の原本の提出を求められました。理由としては、「その未登記家屋をその相続人が相続したという証明が必要だから」ということで、納得は出来るのですが、未登記家屋の所有者として課税台帳に名前がある人は、何十年も昔に亡くなっている曽祖父にあたる人で、相続関係書類の原本といわれても、そのような書類は保管しておらず、手続きが大変難航しました。

この案件では、たまたま相続税の申告書類の控えを保管しており、その中に相続関係書類のコピーが綴られていたので、なんとかそれらの書類で手続きしてもらえるように頼み込んで対応して頂きましたが、同じ手続きであっても、自治体によって取り扱いが全く異なることもあるので、注意が必要だなぁと実感した案件でした。

 

次回は、未登記家屋を売買する場合の注意点などをご紹介したいと思います。

所長の一言 令和2年11月

脱ハンコに向けた今後の動向は・・・

 

日本の文化・慣習のひとつとして、重要書類には印鑑を押印するという「ハンコ文化」がありますが、昨今の世の中の流れとして、紙を使わない「ペーパーレス化」とともに「脱ハンコ」の動きがあります。現在、国税関係書類については、税務署への提出時等の押印が規定されていますが、政府全体として、不要な押印は廃止するという方向で検討を進めている中で、令和3年度税制改正では、従来押印が必要とされてきた国税関係書類についても押印不要の検討が進められているそうです。

 

都心部では、新型コロナウィルスの影響により、会社に行って仕事をする従来のスタイルから、在宅にて電子機器等を使用しながら業務を行う、いわゆるリモートワークやテレワークを導入する企業が増えていますが、その障害となっているのが「ハンコ文化」だといわれています。

日本の多くの企業では、取引先との契約書・注文書・請求書等といった対外的な書類はもちろんのこと、社内文書である決済関係の書類にも、ハンコを押さないと仕事が進まない仕組みになっています。そのため、書類に押印するためにどうしても出社を余儀なくされる事態が生じています。

現内閣が奨めるデジタル化の政策の一環としても、政府の「ペーパーレス化」「脱ハンコ」に向けての動きが活発化しており、前述した税法改正が行われる可能性が高くなっています。今後は、従来の署名や押印の代わりにマイナンバーカード等に付されている情報を使って署名する、「電子署名」などで承認に代えることが主流になってくると考えられます。

 

個人的には、偽造されにくいことや、きちんと対面承認を行う紙媒体を使用する利点は多くあると感じていますので、現在のハンコ文化も残しつつ、状況に応じたケースバイケースで「ペーパーレス」「脱ハンコ」が発展していって欲しいと考えています。

阪本司法書士事務所 令和2年10月

【今月のテーマ】『建物の登記について』(その2)

 

先々月(9月号)で「建物表題登記」は、法律で義務付けられている重要な登記だということをご紹介しましたが、「義務化」されているとはいえ、全ての建物が表題登記をしてあるかというと、そうでもありません。特に昭和の時代に建てられた古い建物や、車庫や物置、倉庫といった居宅に付随して後から建てた建物は登記をしていないことも結構あり、これらを「未登記家屋」と呼びます。今回は、この未登記家屋の問題点についてご紹介したいと思っております。

 

まず、登記と固定資産税等の関係ですが、中には未登記家屋には固定資産税等が課されないと思ってみえて、わざわざ費用をかけて建物登記をすると固定資産税等がかかってくるから、登記はしない方が得だ、なんて考える方もいらっしゃいます。しかし、税金を公平に課すという趣旨から、市役所の資産税課では、定期的に担当者が担当区域を見回って、未登記の建物(新築・増築含む)がないかをチェックする業務があるそうです。未登記の建物が見つかった際は、所有者を特定し、課税床面積をきちんと計測した上で、納税義務者に対して固定資産税等を課す仕組みが出来ているのです。

 

さて、未登記家屋でも固定資産税等は払うようになっている訳だし、登記をしないと生じる不都合は、どういったケースが考えられるでしょうか。

建物の所有者が変わった場合、登記がしてあれば、法務局に所有権移転登記を申請すれば名義が変わりますが、未登記家屋はそもそも登記がないので、名義を変えるといっても市役所の課税台帳の名義変更届を出すことくらいしか出来ません。しかし、課税台帳に納税義務者として名前があっても、「自分がこの建物の所有者です」と第三者に所有権を主張することは出来ないのです。

 

建物所有権を主張出来ないということは、例えば、建物を担保に融資を受けようと思っても金融機関は承認してくれませんし、誰かに建物を売りたいと思った時も、「これは私の建物です」という証明は、日本の法律では「登記」ということになっている以上、登記がされていない建物を買う、ということは「他人物売買」になるリスクもあり、通常の買い主であれば、「きちんと売主名義に登記をした上で売ってください」と言われることでしょう。

 

このように、不動産を担保に入れて融資を受ける際や、建物を売買する時、また相続が発生した場面では、やはり登記をしていないことで不都合が生じます。

 

次回は、未登記家屋を相続した場合、手続きはどうするのかをご紹介したいと思います。

所長の一言 令和2年10月

持続化給付金・家賃支援給付金の現状

コロナウイルス感染症の影響で、売上の減少に直面する事業者の事業継続を下支えする目的で給付されている㋐持続化給付金㋑家賃支援給付金ですが、まず㋐持続化給付金の給付実績は10月12日時点での給付件数約354万件、給付額累計約4.6兆円と経産省ホームページにて紹介されています。ちなみに第一次・第二次補正予算で約4.2兆円が確保されていましたが、予算額を上回り、現在は予備費の約10兆円から支給されているようです。

㋑家賃支援給付金は、10月11日時点での給付件数約29.3万件、給付額累計については色々調査しましたが不明でした。

 

㋐持続化給付金の給付までの期間ですが、申請から給付まで14日以内が約68%と迅速な対応がされています。一方、㋑家賃支援給付金については、7月14日から受付が開始され、最初の給付が8月3日以降にされている実績があり、2週間以上はかかるようです。その後も巷では給付が遅いことがしばしば問題視されていますが、10月11日時点での申請件数は約58万件で、給付実績が先ほどの約29.3万件ということですから、約50%が給付済みということになります。

 

㋐持続化給付金は、給付までの期間が短いことはいいのですが、確かに提出する書類も簡便なため、それを狙った不正受給がニュースを騒がせています。ただ、そのようなケースはかなり悪質な場合(はじめからだまし取ってやろうと考えているような)であり、よほどのことが無ければ、警察沙汰になることはありませんので、ご安心ください。

ただ、受給資格が無いのに受給してしまった場合には、返還を求められることが考えられるため、審査基準に則った申請を行うようにしましょう。

 

㋐持続化給付金、㋑家賃支援給付金の申請期間は、それぞれ令和3年(2021年)1月15日受付分までとなっています。期限を過ぎると給付は受けられませんので、受給する見込みの方は、早めに申請されるようくれぐれもご注意ください。

 

参考

経済産業省ホームページ 家賃支援給付金の申請と給付についての現在の状況【2020.10.16更新】

持続化給付金の給付についての現在の状況【2020.10.13更新】

阪本司法書士事務所 令和2年9月

【今月のテーマ】『「訴訟詐欺」にはご注意を!…本物との見分け方…』

 

最近、「訴訟詐欺」と思われる怪しい郵便物(普通郵便の茶封筒)が届いたというご相談を受けました。届いた書面を見せて頂きましたが、内容は、「差出人:東京の弁護士事務所」で、「訴訟をすることになったので手数料と遅延損金を請求する」とか「下記の電話番号に連絡して下さい」というもので、やはり「詐欺」だと思われます。その方は、「これは怪しい」と思って当職に相談して下さり被害には遭っていませんが、一応警察に届けた方がいいだろうということで、警察に持って行かれたところ、全く同じ郵便物がたくさん届いているとのことです。その方だけでなく、飛騨地域にお住いの方々にも無差別に「訴訟詐欺」の郵便物が送り付けられています。皆様方も、弁護士や裁判所をかたって「借金を返せ」「未納料金を払え」「相続権が発生したので連絡するように」といった内容の手紙が届いた場合、詐欺の可能性が高いので十分ご注意下さい。

このような書面が届いた場合、基本的には一切無視し、電話もかけないでそのまま放置して下さい。もしどう対応して良いか分からない場合には、警察や消費生活センターか、弁護士・税理士・司法書士といった法律職に相談して下さい。

 

ちなみに、本当に訴えられた場合には、裁判所から「特別送達」という特別な郵便により通知が配達されます。この「特別送達」は、次のような特徴があります。

 

《「特別送達」のイメージ》 

①「特別送達」と記載された、裁判所の名前入りの封書で送付される。

② 郵便配達担当者が名宛人に直接手渡すことが原則。普通の郵便物のように郵便受けに入れることはない。

③ 郵便配達担当者から「特別送達」を受け取る際には、受け取った人の署名や押印を求められる。

④中に入っている書面には、裁判所で付した「支払督促」や「訴訟の呼出状」等の「事件番号」・「事件名」が必ず記載されている。

 

こうした特徴があるかどうかで、裁判所からの本当の通知かどうかを見分けることができます。

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