阪本司法書士事務所 平成30年10月

【今月のテーマ:『120年ぶりの民法大改正について(その8

 民法が大改正される中、相続に関する規定(以下、相続法)も大幅に見直されることになりました。今回の相続法の見直しは、高齢化社会の進展等に対応するもので、「配偶者居住権の新設」を始め、「自筆証書遺言の方式緩和」「法務局で遺言書を保管する制度」など、多岐にわたる改正項目が盛り込まれています。

ここで注意したいのが、改正法の施行期日です。改正項目によって施行時期が3段階に分かれています。今号では一番早い平成31年1月13日からの施行が決まった「自筆証書遺言(自筆での遺言書の作成)に関する見直し」についてご説明いたします。

 現行の自筆証書遺言のルール

改正点の前に、まずは現行の自筆証書遺言のルールを確認します。遺言書として要件を満たすには以下の点が全て整っていなければ無効になってしまいます。

①遺言者自身が全文を自書すること。

②作成した年月日を自書すること。(吉日などの曖昧な表現は不可)

③遺言者の氏名を自書すること。

④遺言者の印を押すこと。(実印でなくても可)

これらの要件のうち一つでも満たされていないものがあると、遺言書としての効力はありません。

 自筆証書遺言の改正点

これまで「全文を自書で作成する」という要件が大変な負担となっていたため、今回改正となった点は「財産目録については自書を要しない」という点です。言い換えれば財産目録のみの改正で、具体的には以下の通りです。

①財産目録はワープロなどで作成してもよい。

②財産目録は通帳のコピーや不動産の登記事項証明書等でもよい。

③ただしその財産目録(複数枚の場合は全部)に署名と印を押すこと。

この改正は前述した通り平成31年1月13日から施行されるため、この日以降に作成したものから有効であることと、財産目録以外は現行通り全文を自書すること、本文に日付、氏名、印を押すことについては現行通りですので、注意が必要です。

所長の一言 平成30年10月

2019年10月1日より消費税の税率が、現行8%から10%に引き上げられます。

消費税の税率は上がりますが、一部生活必需品についてはそのまま8%の税率で消費税を課税する、いわゆる軽減税率が導入されます。

ここで問題となるのが、軽減税率の対象品目である、「酒類・外食を除く飲食料品」についてです。

2018年10月3日の産経新聞にこの軽減税率をめぐって、コンビニエンスストア業界(以下コンビニ業界)が、酒類を除き、取り扱う飲食料品全てを、軽減税率の対象品とするよう政府と調整に入っているという記事が掲載され注目を集めております。

コンビニエンスストアでは、イートインコーナーと呼ばれる、食事をとったり、コーヒーを飲んだりすることができるコーナーを設置している店舗が少なくありません。

軽減税率ではこのイートインコーナーが問題となり、例えばコンビニエンスストアで買ったお弁当を、買い手が『そのコーナーで食べます』と意思表示した場合は、外食とみなされ、消費税は10%で課税されることになります。一方、『持ち帰ります』と意思表示した場合は外食とみなされず、消費税は8%で課税されることになります。

記事には、コンビニ業界はこのコーナーを「休憩施設」と位置付け、飲食禁止を明示し外食扱いしないことを明確にする方針にし、既に財務省や国税庁からも一定の理解を得ていると続いております(ただ、正式な発表があったわけではありません)。問題なのは、買い手が弁当を『持ち帰ります』と言いながら、その「休憩施設」で食べていたら???ということです。

また、同じような販売形態を持つファストフードなど外食産業から、批判が強まる可能性があるとも書かれていました。

記事の信憑性は置いておいて、2019年の消費税の引き上げでは、複数税率、しかも判定基準が曖昧のため、各業界が混乱していることは確かです。消費税は生活に非常に身近な税であるので、今後の動向を興味深く見ていきたいと考えております。

阪本司法書士事務所 平成30年9月

【今月のテーマ:『120年ぶりの民法大改正について(その7

 今号では、平成34年(2022年)4月1日から施行されることが決まった、成人年齢を現在の20歳から18歳に引下げる改正についてご紹介します。

  世界的な成人年齢は何歳?

日本では、成人といえば20歳という時代が長らくあったわけですが、他の国の状況を調べてみますと、低いところではプエルトリコの14歳、ネパールやキルギスタンの16歳という国もありますが、多くの国で、18歳を成人年齢としているようです。一方で、シンガポールやアルゼンチンのように21歳と現在の日本より高い国もあります。

 

 成人年齢が引き下げられる影響

婚姻年齢(結婚できる年齢)も、男女ともに18歳に改正されますので、親の承諾がなくても18歳になれば結婚もできますし、学生であろうが無職であろうが18歳になれば成人なので、様々な契約の当事者になることができます。

例えば、借金の申込みや高額な商品を購入する契約も、18歳になれば親の承諾なしに出来るようになるので、今後は若年層が悪徳商法のターゲットにならないように、しっかりとした消費者教育をしておくことがますます重要になってくるでしょう。

では、たばこや飲酒、競馬等の解禁年齢はどうなるのでしょうか?こちらは、従来通り20歳にならないとダメです。今まで「未成年者の飲酒・喫煙はNG」というフレーズに馴染んできましたが、法改正後「未成年者」というのは18歳未満の人を指す言葉になるので、「未成年者」なのか「20歳以上(又は未満)」なのか、場面によってきちんと言葉の使い分けを考える必要が出てきますね。

最後に余談ではありますが、新法施行時の成人式はどうするのか、という疑問があります。施行前の平成33年にはその年に20歳になる人(平成13年生まれ)を対象に成人式をやり、翌年は新法を踏まえて18歳になる人(平成16年生まれ)を対象に成人式をすると、法改正前に19歳(平成14年生まれ)の人と法改正後に19歳(平成15年生まれ)の人は、成人式が無いことになってしまいますよね。成人式をやらない訳にはいかないと思いますし、どういうやり方をされるのか、個人的に興味があります。

副所長からの一言 平成30年9月

最近の相続税の税務調査に立ち会って、あらためて皆様に気を付けて頂きたいことがございます。

相続税・贈与税では、民法が厳格に適用されており、家庭という共同体(単位)は通用しません。どのようなことか、Aという被相続人の相続税負担の事例でお話しします。

Aには甲という子供と、甲の子供で甲と同居する未成年の孫養子乙がいたとします。Aの相続税が全部で1千万円あったとし、甲の負担は700万円、乙の負担は300万円とします。孫養子乙は、職業についていないので支払能力がありません。そのため、甲が乙の分を立て替えて支払いました。

この立替金は、放っておくと甲の乙に対する贈与となります。この相続税事案で税務署の調査があった場合、「乙の相続税の立替金はどういう精算をされましたか?」と問われる場合があります。

乙に所得がない場合は、相続税納税のために、できるだけAの預貯金を乙に相続させることと同時に、地代家賃等が入る相続財産があれば乙が相続するなど(そうすれば、将来にわたり立替金返済できる)、納税資金源を確保するようにして、贈与税がかからないようにしなければなりません。

要するに、乙が納税できる範囲で相続財産を決定する必要があります。ここで注意したいのは、相続税・贈与税については、〇〇家のお金というような出所が「あいまいな」お金を税務署は認めず、徹底的な個人主義が貫かれるということです。

民法の原則に従って、親子であっても1人1人の別個独立した個人として、他人行儀ではありますが、契約書(今回の事例ですと借用書や金銭消費貸借契約書等の書面)を取り交わさなければなりません。

よく相続税の税務調査で問題となる名義預金被相続人が子供名義の預金を作って、子供に譲り渡していない預貯金をいうも、子供のために作った預金の印鑑・通帳を引き渡しておく必要があります。子供が預金を使える状態でないと、贈与契約が成立していないこととされて、相続財産とされますので、ご注意ください。

 

阪本司法書士事務所 平成30年8月

【今月のテーマ:『120年ぶりの民法大改正について(その6

 

3月号より、今般民法が大幅に改正され、平成32年(2020年)4月1日(一部の規定を除く)より施行されることをお知らせしてまいりました。

今号では改正民法の柱のひとつである「法定利率を変動させる規定の新設」について、重要なポイントに絞ってご紹介します。

「法定利率」とは

民法では、私人間でお金の貸し借りをした場合、無利息が原則です。もちろん、利息の支払いとその利率を定めることができ、これらを定めたときは、原則としてその定めに従い利息を支払わなければなりません。

ところで、お金の貸し借りをするにあたって利息を付けることを定めたものの、具体的な利率を定めなかった場合はどうなるでしょうか。この場合、現在の民法では年5%の利率(固定)による利息を支払うことと定められています(現行民法404条)。これを「法定利率」といいます。しかしながら、日本経済がデフレに陥り、日本銀行がゼロ金利政策をとる現在の経済状況にあっては、年5%の利率(固定)は、経済の実態と乖離したかなり高い利率であるといえます。また、将来経済状況が好転あるいは悪化した場 合に、法定利率が年5%に固定されていることが果たして合理的であるかは疑問があるところです。

そこで改正後の民法では、法定利率について現行の年5%から年3%に引き下げた上で、市中の金利動向に合わせて変動する制度を導入することとされました。

契約実務への影響

法定利率は、契約において当事者間で利率を合意している場合には適用されませんので、利率について合意しているのが通常である金銭消費貸借契約などの契約類型に与える影響は大きくありません。

他方、契約で利率を合意していない場合には、法定利率が適用されることとなります。例えば売買契約の際に、代金の支払いが遅れた場合の遅延損害金の利率は定めていないことも多いように思います。また不法行為債権や不当利得債権などの法定債権については、事前に利率を約定することが想定しにくいため、これらの債権が発生した場合にも改正法は影響を与えることになります。

 

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