阪本司法書士事務所 令和元年8月

【今月のテーマ】『成年年齢引下げについて』その1

◎「成年年齢」はいつから変わる?

明治時代から今日まで約140年間、日本での成年年齢は20歳と民法で定められていましたが、今般この民法が改正され、令和4年(2022年)4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に変わります。これによって、令和4年4月1日に18歳、19歳の方は同年4月1日に新成人となります。現在未成年の方は、生年月日によって新成人となる日が、次のようになります。

 

生年月日              新成人となる日     成年年齢

平成14年4月1日以前生まれ             20歳の誕生日     20歳

平成14年4月2日~2003年4月1日生まれ      令和4年4月1日       19歳

平成15年4月2日~2004年4月1日生まれ      令和4年4月1日       18歳

平成16年4月2日以降生まれ              18歳の誕生日    18歳

 

◎成年に達すると何が変わる?

未成年者の場合、契約には親の同意が必要です。もし、未成年者が親の同意を得ずに契約した場合には、民法で定められた「未成年者取消権」によって、その契約を取り消すことができます。この未成年者取消権は、未成年者を保護するためのものであり、未成年者の消費者被害を抑止する役割を果たしています。

成年に達すると、親の同意がなくても自分で契約ができるようになりますが、未成年者取消権は行使できなくなります。つまり、契約を結ぶかどうかを決めるのも自分なら、その契約に対して責任を負うのも自分自身になります。

契約には様々なルールがあり、そうした知識がないまま、安易に契約を交わすとトラブルに巻き込まれる可能性があります。社会経験に乏しく、保護がなくなったばかりの成年を狙い打ちにする悪質な業者もいますので、注意が必要です。

 

◎養育費はどうなる?

子供の養育費について、例えば「子供が成年に達するまで養育費を支払う」との取決めが行われていたとします。成年年齢が引き下げられた後、このような取決めはどうなるのでしょうか。取決めが行われた時点の成年年齢が20歳だとしたら、成年年齢が引き下げられたとしても、従前どおり子供が20歳になるまで養育費の支払義務を負うことになると考えられます。

なお、今後、新たに養育費に関する取決めをする場合には、「(大学を卒業する)22歳の3月まで」といった形で、明確に支払期間の終期を定めることが望ましいと考えられます。

所長の一言 令和元年8月

二代目経営者に大切なこと

 

定期購読している会計事務所向け機関紙に、二代目所長の悩みとして、事業承継から1年経過したが、先代の影響がいまだに強く残っており、顧問先や職員に自分の声が届かないという事例があり、少し気になりその記事を読みました。

どうやらその二代目所長は、自分の特色を出すために、前の所長がやっていなかったことを、提案・提供し過ぎていることに、周囲は不満を持っているということが原因でした。そのアドバイスとして、引き継いだ早々から自分の特色を出すのではなく、まずは前の所長のやっていたことをきちんと引継ぎ、その後で自分の特色を出した方が、周囲には理解されやすいと書かれていました。また、前の所長が事業を行っている間、モットーにしていた『経営理念』を二代目所長もキチンと理解し、大切にすると良いとも書かれていました。

この事例は会計事務所だけの問題ではなく、事業承継を行った会社、または行う予定の会社にとって大切なことだと考えられます。事業承継が上手くいかないケースは、先代の経営理念や経営ノウハウ、取引先との顔つなぎ等をおろそかにして、自分の色を出すことに執着してしまい、周囲と不調和が生じ、今まで順調だった事業も上手くいかず、事業承継も失敗してしまうことが考えられます。経営力や求心力は先代の方がまだまだベテランですから、そこから色々なことを学び、時期が来たら、本格的に自分の特色を生かしていければよいのではないでしょうか。

ちなみに私も、父から事業を引き継いだ二代目所長ですが、上記の点は意識的に大切にするようにしています。前の所長のころから事務所には『経営理念』が掲げられており、それも変えることなく受け継いでいます。

 

前の経営者が引退を考え、これからは次の経営者が事業を舵取りしていく時代へと入っていきます。経営というものに正解はありませんが、二代目経営者は事業を上手く引き継ぎ、前の経営者や取引先、周囲の方々皆さんが、幸せになれる経営を行っていければ最高ですね

阪本司法書士事務所 令和元年7月

【今月のテーマ】

『アパート・借家・貸駐車場など収益不動産の相続登記について』

 

相続登記は義務ではなく、いつまでにやらないといけないという制限も罰則規定もないことはこのコーナーでも触れていますが、アパートや借家、貸駐車場など「家賃」や「地代」が発生する収益不動産に関しては、相続登記を速やかに行うことが貸主・借主双方にとって大変重要になりますので、今回はその点を具体的な事例でご紹介します。

 事例:家賃月額9万円の借家の所有車が亡くなり、相続人は3人。

       この場合、家賃は誰のもの?借主は誰に賃料を払ったらよい?

1.遺産分割協議前

判例では「アパート・借家・駐車場などの賃料債権は金銭債権であって、相続発生と同時に共同相続人各々に帰属してしまう性質の財産であり、遺産分割の対象にはならない」とされています。よって、各相続人は3万円ずつ家賃を請求する権利があるので、借主は、3人の相続人に各3万円ずつ家賃を支払わないといけないのです。しかしこれは借主にとって大変な負担ですので、誰が借家の所有権を相続するか決まるまでは、家賃を法務局内にある供託所に「供託する」という方法があります。

 

2.遺産分割協議後

遺産分割協議後に発生する賃料は、不動産の所有権を取得した相続人のものになります。なお、不動産を相続によって取得した場合に、新賃貸人として借主に対し賃料を請求するには、相続による所有権移転登記を済ませておく必要があります

判例でも、「借主は、相続による所有権移転登記を済ませた新賃貸人へ家賃を支払うべき」とされています。ですから借主さんを困らせないためにも、大家さん側に相続が発生した場合は、速やかに遺産分割協議と相続登記を完了させる必要があるのです。

その上で、自主管理の場合には大家さん自らが、管理を委託している業者があればその不動産業者が「賃貸人の変更通知」を出すことになると思います。

 

このように、相続財産の中に収益不動産が含まれる場合には、なるべく早く遺産分割協議を済ませて相続登記を完了させないと、家賃や地代をめぐって、貸主・借主双方が困ることになりますので、ご注意ください。

 

 

 

所長の一言 令和元年7月

軽減税率の価格設定について>

 

消費税の増税も、いよいよというところまでやってきました。

「軽減税率 メニュー」の画像検索結果

業種的に軽減税率8%と新税率10%が混在する事業所は、それに対応する準備が非常に大変ですね。例えば外食産業では、消費者が店内で食事をする場合は10%テイクアウトをする場合8%出前も同じように8%となるので、お店の対応として、メニューの表示価格をどうしようかと悩んでいらっしゃる方も多いと思います。

では、皆さんがお客として、あるファーストフード店に入って図1のようなメニュー表示だったら、どのように感じますか?

店内で食事をするつもりでお店に入っても、テイクアウトなら少しお値打ちに食事ができると考え、もしかしたらテイクアウトしようという選択をしてしまうかもしれません。お店のメニューの表示のしか   た一つで、消費者の行動を変えてしまう可能性があるということです。      図1

また、出前を行っている 事業者の場合、出前も8%ですので、軽減税率適用の前と後では、出前の割合が多くなると考えられるため、人的コストや燃料代など経費が増え、利益が削られる可能性が高くなります。

メニュー表示のセオリーは、図1のような表記にすることが望ましいのでしょうが、テイクアウトのために包装材料や容器などを別途用意して提供しなければならないので、そのコストも原価に含めると考え、店内飲食でも、テイクアウトでも、同じ金額で提供すると決定するのも、アリだといえます。

消費税増税の準備には、様々なことが必要ですが、お店の営業形態を見直し、増税によって消費者の行動に、どのような変化が起こりうるかを予測しながら、メニュー表示の方法や価格を決定することも、重要な準備事項となりますので、よくご検討いただくのが得策だと考えます。

阪本司法書士事務所 令和元年6月

【今月のテーマ:『相続登記に関するちょっと珍しい事例』

 最近「相続登記は早めに済ませておいた方が良いですよ」という情報が徐々に浸透してきたようで、相続登記に関するご相談が増えてきたように感じています。

今回は、「父名義の土地の相続登記をずっとやらずに放置していたが、そろそろやらなきゃいかんと思って」相談に来られたAさん(70代男性)の珍しい事例をご紹介します。

 

 相続登記が知らない間に済んでいた!?

 Aさんは高山市内に自宅があり、お父様名義の土地は飛騨市にあります。お父様は昭和50年代に、お母様は平成初期に既に亡くなられています。Aさんは長男で、長年お父様名義の土地の登記済権利証も大切に保管してみえました。Aさん自身は相続登記をした覚えもないし、もちろん自分名義の権利証もないですから、飛騨市の土地は父名義のままになっているとずっと思い込んでみえました。

私は相続登記の依頼を受けましたので、その準備をするつもりでお父様名義の土地の登記情報を調べたところ、なぜか既にAさんの名義になっているのです。登記情報だけではどういうことか意味が分からず、法務局へ行って「閉鎖登記簿謄本」を取得して、ようやく謎が解けました。

その土地は昭和62年に「代位者 吉城郡古川町/代位原因 国土調査法第32条の2第1項」という、「代位による相続登記」という登記がされていたのです。

土地に関する「国土調査」は「地積調査」とも言われますが、最新の測量技術を使った精度の高い「地籍図」と、現状にあった正確な「地籍簿」によって、公図や土地登記簿を修正していく事業です。

Aさんのお父様名義の飛騨市の土地は、地積調査の結果、土地の合筆をする必要が生じ、亡くなったお父様名義のままではそれが出来ないので、地方自治体である古川町が、相続人に代わって相続登記をするのが「代位による相続登記」ですが、なかなか珍しいケースといえます。

もちろん、当時の古川町が勝手に登記できたわけではなく、他の法定相続人にあたる方(Aさんにはお姉さんがみえます)から、「私は相続しません」という「相続分不存在証明書」に実印で押印してもらう等、必要な書類は取得した上で手続きしているのですが、Aさんご自身は全くこの件に関与した覚えがないそうなので、おそらく、当時お元気だったお母様が、町役場の職員から言われた通りに、書類にAさんの名前を書いて判子押して・・・という感じで書類を提出されたのかな、と思います。

Aさんにしてみれば、30年以上も前に、全く自分が知らない内に、自分名義に相続登記が終わっていた、という話ですから、大変驚いていらっしゃいました。

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