阪本司法書士事務所 平成30年6月

【今月のテーマ:『120年ぶりの民法大改正について(その4 

  3月号より、今般民法が大幅に改正され、平成32年(2020年)4月1日(一部の規定を除く)より施行されることをお知らせしました。今号では、この改正民法の柱のひとつである『定型約款』という新制度について、ご紹介します。

約款の意義と問題点

約款とは、あらかじめ定められた画一的な約款の条項に契約としての拘束力を認めるものです。例えば、電気・ガス・運送(バスや電車・汽車等)・旅行・宅配便・保険・クレジットカード・預金・携帯電話…等々、現代社会では様々な取引の場面において知らず知らずのうちに『約款』が利用されているのです。

しかし、約款は非常に多条項に渡っていることが多いため、契約前に約款をきちんと読んで、内容を把握してから契約するという人は、ほとんどいないのではないでしょうか。ちなみに、私自身も見ていないことが多いです。それにもかかわらず、約款が作成されているというだけで常にそれに拘束されてしまっていいのか、また、約款の条項に記載されていることはどんな内容でも効力があるとしてしまっていいのか、などの問題があります。

実際に、この問題に関して、携帯電話会社を相手として、会社が約款の内容を変更することがあるとし、料金その他の提供条件は変更後のものが適用されるなどとする約款の条項について、一方的に契約内容を変更できるとするのは無効であるなどと争われている事件があります。

約款は、その条項を確認しながら個別的にその内容を交渉することはなく、大量の取引を合理的・効率的に行えるため、現代社会では必要不可欠ではありますが、色々な問題を抱えています。従来の法律ではその規定が全くなかったことから、民法において一定のルールを定めようということになり、今回の民法改正で「定型約款」の条文が新設されることになったのです。

次号では、改正民法で新しく定められることになった「定型約款」とは何か、について、ご説明いたします。

所長の一言 平成30年6月

シリーズ「法人と個人」:第4回 事業承継 個人事業主編「クリップアート シルエット リレー」の画像検索結果

 

長年、事業を営まれてきた経営者も、年齢などの事情によりお子様や次世代の方に、経営を移譲することがあります。これを専門用語で『事業承継』といい、最近この案件は多くなってきております。事業承継にも、法人と個人では大きな違いがあります。今回はまず個人事業の事業承継についてお話したいと思います。

 <事例:Aさんが○○商店をBさんに事業承継する場合>

 非常に多い間違いとして、○○商店の代表を変更するだけでAからBに事業承継できると考える方が見受けられます。実際には事業の主体はあくまでAさんですので、Aさんの○○商店は廃業して、新たにBさんの○○商店を開業するという考え方が正しいです。ですので、例えばAさん名義の○○商店の通帳は、Bさんの事業では基本的に使用できません。同じ屋号は使えるので、Bさん名義の○○商店の通帳を新しく作り、取引先から入金してもらうよう手配しておかなければいけません。税務署等に対しても開廃業届の提出が必要であったり、特定の許可など取得されている場合には、その変更の手続きが必要となるので注意が必要です。

メリットとしては、事業が次世代に滞りなくバトンタッチすることができ、事業の若返りがアピールできること、前経営者の憂いが少なくなることでしょうか。副次的効果として、Aさんが消費税を納めている事業者だったとしたら、判定基準の1,000万円以上の課税売上はAさんで完結するので、Bさんは暫く消費税を納めなくても良い可能性が高く、結果的に節税になることが考えられます。

上記の件は、生前に事業承継した場合であり、死後に相続や遺贈として事業承継した場合には、事情が大きく変わります。特に消費税は注意が必要です。そのような観点から、生前に事業承継をしておいた方がメリットは多いといえます。

阪本司法書士事務所 平成30年5月

【今月のテーマ:『120年ぶりの民法大改正について(その3

 

3月号より、今般民法が大幅に改正され、平成32年(2020年)4月1日(一部の規定を除く)より施行されることをお知らせしました。

今号では、この改正民法の大きな柱の一つである「保証人の保護に関する改正」について、重要なポイントに絞ってご紹介します。

保証契約に関するルールについて、個人(会社などの法人は含まれません)が保証人になる場合の保証人の保護を進めるため、次のような改正をしています。

(1)極度額の定めのない個人の根保証契約※1は無効に

個人が根保証契約を締結する場合には、保証人が支払の責任を負う金額の上限となる「極度額」を定めなければ、保証契約は無効となります。

※1  一定の範囲に属する不特定の債務を保証する契約を「根保証契約」といいます。例えば、住宅等の賃貸借契約の保証人となる契約などが根保証契約に当たることがあります。

(2)公証人による保証意思確認の手順を新設

会社や個人である事業主が融資を受ける場合に、その事業に関与していない親戚や友人などの第三者が容易に保証人になってしまい、結果的に、予想もしなかった多額の支払を迫られるという事態が依然として生じています。そこで、個人が事業用融資の保証人になろうとする場合について、公証人による保証意思確認の手続(保証人になろうとする者は自ら公証人の面前で保証意思を述べ、公証人が「保証意思宣明公正証書」を作成する)を新設しています。この手続を経ないでした保証契約は無効となります※2

※2 次の場合には、意思確認は不要です。

①主債務者が法人である場合…

その法人の理事、取締役、執行役、議決権の過半数を有する株主等

②主債務者が個人である場合…

主債務者と共同して事業を行っている共同事業者や、主債務者の事業に現に従事している主債務者の配 偶者

所長の一言 平成30年5月

 

シリーズ「法人と個人」:第3回 法人の資本金 ≒ 個人の元入金

 

財務諸表のひとつ貸借対照表は、資産と負債と純資産で構成されています(下図参照)。

「貸借対照表 画像」の画像検索結果 左の資産から右上の負債をマイナスして、資本金を上回っていれば、累積黒字があり、反対に、資本金を下回っていれば、累積赤字が発生していることが分かります。法人は貸借対照表から現時点の会社の価値を把握することが可能です。

では、個人事業でも同じように、累積黒字があるのか、累積赤字があるのか、貸借対照表を見ただけで判断できると思われますか?

 

個人事業主にも「元入金」という勘定が存在します。かつて簿記の勉強をしたとき、法人の資本金=個人の元入金と覚えた記憶があります。実際は、元入金は資本金とは似て非なるものだと考えられます。個人の元入金は、第2回でご紹介した事業主借・事業主貸勘定と、事業所得とをブレンドしたものであるからです。例えば、事業で資金が不足し、事業主から資金の投入があった場合、

 

期中 現金100 /事業主借100  決算時 事業主借100 /元入金100

 

となり、元入金が増加して翌期に繰り越されるため、事業での純粋な内部留保を反映しているとはいえません。

個人は、事業の価値を元入金に求めるのではなく、資産と負債のバランスや資産の構成内容などを中心に貸借対照表を見て判断するのがベストではないかと、私は考えます。

それから6月1日より『まちゼミ』が開催されます。弊社も参加します。魅力ある講座が目白押しですので、皆様もご参加いただければ幸いです。

阪本司法書士事務所 平成30年4月

【今月のテーマ:『法人が目的外の事業をするとどうなる?

権利や義務の主体となるのは「自然人」と「法人」があります。当然ですが、法人が自然人とまったく同じ権利能力を持っているわけではありません。法人にはその性質や法令上で制限がありますし、さらに民法34条に「(法人は)目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う」とあるように、”目的の範囲内”という制約があります。

法人を設立するときには、必ず定款でその法人が行う事業の目的を定め、登記をしますが、気になるのは定款に記載された目的以外の事業や活動はできないのか(無効になるのか)ということや、目的以外の事業を行った場合に罰則はあるのか、といった疑問ではないでしょうか。

この点、事業目的以外の取引を行った場合に、法人側から取引の無効を主張することが出来ないのはもちろん、取引の相手方から無効を主張することも認められていません。また、法人は事業目的に記載されていない事業を営めないことになっているものの、会社法等による罰則規定というものは特にありません。

専門家によって判断が分かれますが、定款に書かれた事業目的ではなくても「目的の達成に必要な行為」、あるいは「目的の達成に有用な行為」を含むとして、目的の範囲について、拡大解釈することができるとされています。

たとえば、英会話教室を営む企業の事業所の敷地内に自販機を設置して、清涼飲料水を販売している場合、「飲料の販売」を事業目的に記載していなくても問題にはなりません。「目的の達成に必要な行為」や「目的の達成に有用な行為」に、清涼飲料水を販売している行為が含まれると考えられるからです。

ただし、自販機による飲料の販売が利益の大半を占めている場合には、定款に事業目的のひとつとして記載する必要性も出てきます。

というのも、定款・登記簿に記載されている事業目的と全く関連性のない事業を、反復・継続的に営んでいると、その事業のために費やした経費が税務署に認めてもらえない等のリスクがあるからです。

個人事業主の方は、法令や公序良俗に反しない事業であれば、自由に営むことが出来るのですが、法人の場合は、事業内容が「目的の範囲内」でない場合は、「目的変更登記」をしないといけませんので、ご注意下さい。

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