副所長からの一言 平成30年9月

最近の相続税の税務調査に立ち会って、あらためて皆様に気を付けて頂きたいことがございます。

相続税・贈与税では、民法が厳格に適用されており、家庭という共同体(単位)は通用しません。どのようなことか、Aという被相続人の相続税負担の事例でお話しします。

Aには甲という子供と、甲の子供で甲と同居する未成年の孫養子乙がいたとします。Aの相続税が全部で1千万円あったとし、甲の負担は700万円、乙の負担は300万円とします。孫養子乙は、職業についていないので支払能力がありません。そのため、甲が乙の分を立て替えて支払いました。

この立替金は、放っておくと甲の乙に対する贈与となります。この相続税事案で税務署の調査があった場合、「乙の相続税の立替金はどういう精算をされましたか?」と問われる場合があります。

乙に所得がない場合は、相続税納税のために、できるだけAの預貯金を乙に相続させることと同時に、地代家賃等が入る相続財産があれば乙が相続するなど(そうすれば、将来にわたり立替金返済できる)、納税資金源を確保するようにして、贈与税がかからないようにしなければなりません。

要するに、乙が納税できる範囲で相続財産を決定する必要があります。ここで注意したいのは、相続税・贈与税については、〇〇家のお金というような出所が「あいまいな」お金を税務署は認めず、徹底的な個人主義が貫かれるということです。

民法の原則に従って、親子であっても1人1人の別個独立した個人として、他人行儀ではありますが、契約書(今回の事例ですと借用書や金銭消費貸借契約書等の書面)を取り交わさなければなりません。

よく相続税の税務調査で問題となる名義預金被相続人が子供名義の預金を作って、子供に譲り渡していない預貯金をいうも、子供のために作った預金の印鑑・通帳を引き渡しておく必要があります。子供が預金を使える状態でないと、贈与契約が成立していないこととされて、相続財産とされますので、ご注意ください。

 

阪本司法書士事務所 平成30年8月

【今月のテーマ:『120年ぶりの民法大改正について(その6

 

3月号より、今般民法が大幅に改正され、平成32年(2020年)4月1日(一部の規定を除く)より施行されることをお知らせしてまいりました。

今号では改正民法の柱のひとつである「法定利率を変動させる規定の新設」について、重要なポイントに絞ってご紹介します。

「法定利率」とは

民法では、私人間でお金の貸し借りをした場合、無利息が原則です。もちろん、利息の支払いとその利率を定めることができ、これらを定めたときは、原則としてその定めに従い利息を支払わなければなりません。

ところで、お金の貸し借りをするにあたって利息を付けることを定めたものの、具体的な利率を定めなかった場合はどうなるでしょうか。この場合、現在の民法では年5%の利率(固定)による利息を支払うことと定められています(現行民法404条)。これを「法定利率」といいます。しかしながら、日本経済がデフレに陥り、日本銀行がゼロ金利政策をとる現在の経済状況にあっては、年5%の利率(固定)は、経済の実態と乖離したかなり高い利率であるといえます。また、将来経済状況が好転あるいは悪化した場 合に、法定利率が年5%に固定されていることが果たして合理的であるかは疑問があるところです。

そこで改正後の民法では、法定利率について現行の年5%から年3%に引き下げた上で、市中の金利動向に合わせて変動する制度を導入することとされました。

契約実務への影響

法定利率は、契約において当事者間で利率を合意している場合には適用されませんので、利率について合意しているのが通常である金銭消費貸借契約などの契約類型に与える影響は大きくありません。

他方、契約で利率を合意していない場合には、法定利率が適用されることとなります。例えば売買契約の際に、代金の支払いが遅れた場合の遅延損害金の利率は定めていないことも多いように思います。また不法行為債権や不当利得債権などの法定債権については、事前に利率を約定することが想定しにくいため、これらの債権が発生した場合にも改正法は影響を与えることになります。

 

所長の一言 平成30年8月

シリーズ「法人と個人」:第6回(最終回) 個人と法人の経理処理の相違

   残暑お見舞い申し上げます。

過ごしやすい日が増えてきましたが、今年は猛暑日が続き、気象庁からは残暑が9月末まで続くとの予報も発表されました。まだまだ暑い日が続きそうですので、皆様体調の管理には十分お気を付けください。

さて、今回は法人と個人の経理処理の大きな違いについてお話します。

まずは、違いの大きなものから3つ表にしてみました(私の個人的なベスト3です)。

相違点ベスト3

法人

個人

1位 経営者への給与 支払うことができる 支払うことができない
2位 繰越欠損金 10年間引き継げる 3年間引き継げる
3位 社会保険加入 加入義務あり 5名未満は加入義務なし

【解説】

まず、第1位の経営者への給与ですが、会社の経営者への給与の支払は役員報酬という形で支払うことができます。一方個人事業主は、事業主本人には給与を支払うことができません。個人事業者が法人形態に組織変更する、いわゆる法人成りという方法は、事業主に対し役員報酬を支払うことにより、節税効果を高めるために行なうことが大きな目的と言えます。

第2位の繰越欠損金の引継期間の違いは、共に青色申告の届出を提出していることが条件ですが、平成30年4月1日以後から営業が始まる法人の場合は、その営業年度に出た損失額を10年間引き継ぐことができます。一方、個人事業者の場合は損失額を3年間引き継げますが、3年経過するとその欠損金は消滅してしまいます。

第3位は、社会保険の加入義務についての違いをを挙げてみました。

その他にも多くの相違点がありますが、それぞれできることできないことを知っておいていただくとより戦略的な経営が行えますので、ご興味を持っていただけたら幸いです。

全6回にわたりお話してきました『シリーズ法人と個人』は今回で一旦終了致します。またの機会に関連することなど、お話できればと考えています。

阪本司法書士事務所 平成30年7月

【今月のテーマ:『120年ぶりの民法大改正について(その5

3月号より、今般民法が大幅に改正され、平成32年(2020年)4月1日(一部の規定を除く)より施行されることをお知らせしてまいりました。

この改正民法による新制度に『定型約款』というものがあります。前号では約款の意義と問題点についてご説明しましたので、今号では「定型約款」とは何か、重要なポイントに絞ってご紹介します。

 「定型約款」とは

「定型約款」とは、約款(利用規約)のうち、以下の①~③の要件全てに当てはまるものをいいます。

①ある特定の者が、不特定多数の者を相手方として行う取引についてのものであること(要件その1:不特定多数)

②取引の内容の全部または一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものであること(要件その2:定型取引)

③約款が、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体であること(要件その3:一方性)

何のことだかよく分からないと思いますが、具体例としては、「インターネット上で提供されるサービスについての利用規約」、「保険会社が定める保険約款」、「運送会社が定める運送約款」、「宿泊施設が定める宿泊約款」、「ソフトウェア販売会社が定めるソフトウェアの利用約款」といったものが定型約款に当てはまるそうです。

ですから、不特定多数の者を相手にしないものだったり、当事者間で個別的にその条項を検討するようなことが予定されたりするものは、「定型約款」には該当しません。

約款(利用規約)が「定型約款」にあてはまる場合、約款を準備する事業者側は、様々な規制をうけることになりますので注意が必要です。規制のポイントをまとめると以下の3つとなります。

  1. ユーザーに約款(利用規約)を明確に表示すること
  2. 約款(利用規約)に不利益条項が含まれていないこと
  3. 約款(利用規約)の変更要件・手続きに細かな条件が定められたこと

このルールを知らずにこれまでと同様の約款を使い続けていると、思わぬ落とし穴があるかもしれません。

約款を利用している事業者の方は、改正民法の規定を踏まえ、実務の準備を始めておかれると良いかと思います。

所長の一言 平成30年7月

先日の大雨で、飛騨地方でも被害が出て、地滑りにより一時的に通行止めになる地域、家屋が壊れてしまう地域がありました。他県では残念なことに多くの犠牲者が出てしまい、自然の怖ろしさを感じる日々でありました。

お亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈りするとともに、一日も早い復興を願うばかりです。

シリーズ「法人と個人」:第5回 事業承継 法人編「クリップアート シルエット リレー」の画像検索結果

 

さて、前回は『事業承継』(お子様や次世代の方に、経営を移譲すること)の個人事業主の場合についてお話させていただきましたが、今回は法人が事業承継する場合についてお話させていただきます。

法人の場合は、会社の経営面での承継、会社の所有面での承継の2つの承継があることに留意しなければいけません。

経営面での承継を考えると、会社の経営を後継者が引き継ぐ場合には、代表取締役を変更することで比較的簡単に経営移譲することができます。資産等もそのままの状態で引き継ぐので、銀行の口座等も名義の変更が必要ですが、そのまま引き継ぐことが可能です。

所有面での承継を考えると、法人の場合、株主資本という概念があるため、株式や出資金を内部留保を含めた価額で再評価しなければいけません。一般的な中小企業は経営者 = 株主で、前経営者の経営成績が良かった場合、会社の価値が高く、その分設立時出資した株式や出資金の価値が高くなっているので、安易に後継者に株式まで移譲してしまうと、贈与の対象となり、贈与税がかけられるため、細心の注意が必要となります。

また、後継者が不在の場合、まったくの第三者に事業を移譲する、M&A(Mergers and Acquisitionsの略(合併と買収という意味))という形の事業承継も存在します。

弊社としても、『事業承継』について、最適なアドバイスができるよう努めますので、諸々ご相談いただければ幸いかと存じます。

事務所案内

阪本会計事務所
〒506-0054
岐阜県高山市岡本町3-242
[TEL] 0577(33)2605
[FAX] 0577(33)2589

外観写真

アーカイブ