阪本司法書士事務所 令和元年7月

【今月のテーマ】

『アパート・借家・貸駐車場など収益不動産の相続登記について』

 

相続登記は義務ではなく、いつまでにやらないといけないという制限も罰則規定もないことはこのコーナーでも触れていますが、アパートや借家、貸駐車場など「家賃」や「地代」が発生する収益不動産に関しては、相続登記を速やかに行うことが貸主・借主双方にとって大変重要になりますので、今回はその点を具体的な事例でご紹介します。

 事例:家賃月額9万円の借家の所有車が亡くなり、相続人は3人。

       この場合、家賃は誰のもの?借主は誰に賃料を払ったらよい?

1.遺産分割協議前

判例では「アパート・借家・駐車場などの賃料債権は金銭債権であって、相続発生と同時に共同相続人各々に帰属してしまう性質の財産であり、遺産分割の対象にはならない」とされています。よって、各相続人は3万円ずつ家賃を請求する権利があるので、借主は、3人の相続人に各3万円ずつ家賃を支払わないといけないのです。しかしこれは借主にとって大変な負担ですので、誰が借家の所有権を相続するか決まるまでは、家賃を法務局内にある供託所に「供託する」という方法があります。

 

2.遺産分割協議後

遺産分割協議後に発生する賃料は、不動産の所有権を取得した相続人のものになります。なお、不動産を相続によって取得した場合に、新賃貸人として借主に対し賃料を請求するには、相続による所有権移転登記を済ませておく必要があります

判例でも、「借主は、相続による所有権移転登記を済ませた新賃貸人へ家賃を支払うべき」とされています。ですから借主さんを困らせないためにも、大家さん側に相続が発生した場合は、速やかに遺産分割協議と相続登記を完了させる必要があるのです。

その上で、自主管理の場合には大家さん自らが、管理を委託している業者があればその不動産業者が「賃貸人の変更通知」を出すことになると思います。

 

このように、相続財産の中に収益不動産が含まれる場合には、なるべく早く遺産分割協議を済ませて相続登記を完了させないと、家賃や地代をめぐって、貸主・借主双方が困ることになりますので、ご注意ください。

 

 

 

所長の一言 令和元年7月

軽減税率の価格設定について>

 

消費税の増税も、いよいよというところまでやってきました。

「軽減税率 メニュー」の画像検索結果

業種的に軽減税率8%と新税率10%が混在する事業所は、それに対応する準備が非常に大変ですね。例えば外食産業では、消費者が店内で食事をする場合は10%テイクアウトをする場合8%出前も同じように8%となるので、お店の対応として、メニューの表示価格をどうしようかと悩んでいらっしゃる方も多いと思います。

では、皆さんがお客として、あるファーストフード店に入って図1のようなメニュー表示だったら、どのように感じますか?

店内で食事をするつもりでお店に入っても、テイクアウトなら少しお値打ちに食事ができると考え、もしかしたらテイクアウトしようという選択をしてしまうかもしれません。お店のメニューの表示のしか   た一つで、消費者の行動を変えてしまう可能性があるということです。      図1

また、出前を行っている 事業者の場合、出前も8%ですので、軽減税率適用の前と後では、出前の割合が多くなると考えられるため、人的コストや燃料代など経費が増え、利益が削られる可能性が高くなります。

メニュー表示のセオリーは、図1のような表記にすることが望ましいのでしょうが、テイクアウトのために包装材料や容器などを別途用意して提供しなければならないので、そのコストも原価に含めると考え、店内飲食でも、テイクアウトでも、同じ金額で提供すると決定するのも、アリだといえます。

消費税増税の準備には、様々なことが必要ですが、お店の営業形態を見直し、増税によって消費者の行動に、どのような変化が起こりうるかを予測しながら、メニュー表示の方法や価格を決定することも、重要な準備事項となりますので、よくご検討いただくのが得策だと考えます。

阪本司法書士事務所 令和元年6月

【今月のテーマ:『相続登記に関するちょっと珍しい事例』

 最近「相続登記は早めに済ませておいた方が良いですよ」という情報が徐々に浸透してきたようで、相続登記に関するご相談が増えてきたように感じています。

今回は、「父名義の土地の相続登記をずっとやらずに放置していたが、そろそろやらなきゃいかんと思って」相談に来られたAさん(70代男性)の珍しい事例をご紹介します。

 

 相続登記が知らない間に済んでいた!?

 Aさんは高山市内に自宅があり、お父様名義の土地は飛騨市にあります。お父様は昭和50年代に、お母様は平成初期に既に亡くなられています。Aさんは長男で、長年お父様名義の土地の登記済権利証も大切に保管してみえました。Aさん自身は相続登記をした覚えもないし、もちろん自分名義の権利証もないですから、飛騨市の土地は父名義のままになっているとずっと思い込んでみえました。

私は相続登記の依頼を受けましたので、その準備をするつもりでお父様名義の土地の登記情報を調べたところ、なぜか既にAさんの名義になっているのです。登記情報だけではどういうことか意味が分からず、法務局へ行って「閉鎖登記簿謄本」を取得して、ようやく謎が解けました。

その土地は昭和62年に「代位者 吉城郡古川町/代位原因 国土調査法第32条の2第1項」という、「代位による相続登記」という登記がされていたのです。

土地に関する「国土調査」は「地積調査」とも言われますが、最新の測量技術を使った精度の高い「地籍図」と、現状にあった正確な「地籍簿」によって、公図や土地登記簿を修正していく事業です。

Aさんのお父様名義の飛騨市の土地は、地積調査の結果、土地の合筆をする必要が生じ、亡くなったお父様名義のままではそれが出来ないので、地方自治体である古川町が、相続人に代わって相続登記をするのが「代位による相続登記」ですが、なかなか珍しいケースといえます。

もちろん、当時の古川町が勝手に登記できたわけではなく、他の法定相続人にあたる方(Aさんにはお姉さんがみえます)から、「私は相続しません」という「相続分不存在証明書」に実印で押印してもらう等、必要な書類は取得した上で手続きしているのですが、Aさんご自身は全くこの件に関与した覚えがないそうなので、おそらく、当時お元気だったお母様が、町役場の職員から言われた通りに、書類にAさんの名前を書いて判子押して・・・という感じで書類を提出されたのかな、と思います。

Aさんにしてみれば、30年以上も前に、全く自分が知らない内に、自分名義に相続登記が終わっていた、という話ですから、大変驚いていらっしゃいました。

所長の一言 令和元年6月

先日の6月9日、第8回飛騨高山ウルトラマラソン100kmの部に出走しました。71kmの部は過去2回完走経験があり、今年はより過酷であろう100kmを走ってみたいと考え、参加を決めました。

レース当日は、天候は曇りのち雨予報、体調も良く、100kmの第2グループにエントリーした私は、午前5時に高山ビッグアリーナをスタートしました。

例年、美女峠を通り朝日村へと抜けるのですが、昨年の大雨でコース変更があったため、美女街道のトンネルをくぐり、第1関門を通過。そこから、カクレハ高原を通り、飛騨高山スキー場へと進んでいきますが、ここがかなりの難所で、心臓が止まるかと思うほどの激坂なのです。

第2関門では、自分が目標としていた時間よりも30分ほど遅れてしまい、第3関門の丹生川支所への関門時間にギリギリ間に合ったものの、その後の千光寺の再度の激坂で力尽き、第4関門の国府B&G海洋セン「高山ウルトラマラソン 公式」の画像検索結果ター(約74km地点)にたどり着く脚力は残っておらず、敢え無く少し手前の70km地点でタイムアップとなってしまいました。

今回のレースでは、『足裏のマメ予防にはワセリンを塗ると効果的』だとあるマラソン仲間に教えてもらい、その効果を実感できたことや、有名な千光寺の登り坂と108段の石段を体験できたことが良い経験となりました。やはり制限時間内に100km完走するには、生半可ではいきませんね!来年は再挑戦し、より高みを目指して日々精進していきます!!

 

飛騨高山ウルトラマラソン公式HPより

 

阪本司法書士事務所 令和元年5月

【今月のテーマ:『学生寮を途中解約した場合の寮費はどうなる?』

お客様の中には、現在お子さんが学生寮を利用されている方や、これから利用するかもしれないという方もいらっしゃるのではないかと存じますが、先日、あるお客様から「学生寮の途中解約」に関するご相談を受けました。

子供を持つ親としての立場と、学生寮を経営する大家さんの立場、両者にそれぞれの言い分があり、考えさせられる内容でしたので、ご紹介したいと思います。

 相談の概要

相談者の自宅は遠方にあり、子供が高校入学時から学校近くの学生寮にお世話になっている。学生寮は、4/1~3/31までの1年間契約。寮費は年間約80万円で、契約書には、「途中解約しても寮費は返金しない」旨の記載がある。寮費の支払は、便宜年2回(前期・後期)に分けて支払っており、前期分は既に支払済で後期分は未納。

相談者の子供は現在高3で、8月一杯で部活動を引退した後はバス通学が可能になるので、9月以降は寮を出て自宅からバス通学をする予定。寮を利用していないにもかかわらず、後期分の寮費(約40万円)を支払わなければならないのか?

 

相談に対する回答

学生寮の利用契約は、民法上の賃貸借契約にあたり、契約当事者が締結した内容どおりに契約が拘束力を持つので、途中解約する場合においても、原則としては契約書の定めにあるとおり、1年分の寮費を支払わなければなりません

利用してもいないのに利用代金を払わせられるとは、理不尽な気がします。しかし、かかる定めが置かれているのも理由がないことではありません。学生寮の入居希望者は、学年初めには多くても学年途中には少なくなる結果、途中解約されると残りの期間、部屋は利用されないままになる可能性が高いからです。そのため、大家側では1年間を最短の利用期間として、リスクを免れることを考えます。

しかし、学生寮は営利目的のためだけではなく、学生の福利厚生のための制度という側面もあるはずです。そうだとすれば、一身上の理由により、あるいは不可抗力で契約期間中に利用できなくなった場合には、残期間の利用代金債権を放棄するべきと考えることもできるでしょう。

ただ、契約締結時に合意している以上、法律上の支払い義務があることは否定できません。その点を踏まえた上で、後期分寮費については、大家さんに「免除」または「値引き」を交渉してみてはどうか、というアドバイスをしました。

事務所案内

阪本会計事務所
〒506-0054
岐阜県高山市岡本町3-242
[TEL] 0577(33)2605
[FAX] 0577(33)2589

外観写真

アーカイブ