阪本司法書士事務所 令和元年11月

【今月のテーマ】『過去の相続登記からもれてしまった土地について』

◎「固定資産税課税明細書」に記載のない土地がある?

最近、あるお客様(Aさん)からご相談があった相続登記に関する話題をご紹介します。

Aさんのお宅の先祖代々のお墓が、以前は高山市郊外の山の中にあったのですが、最近になって、管理面など色々な事情から、町中の菩提寺境内にある墓地に「お墓の引越」をされたそうです。Aさんは、自分名義の複数の不動産を他にもお持ちですが、以前は「固定資産税課税明細書」にここの土地は載っていなかったのに、最近になって急に載ってくるようになって、疑問に思っていたそうです。実は、この土地にお墓があった時は「墓地」として非課税扱いだったので課税明細書に載らなかったけど、お墓がなくなれば「墓地」ではなくなるので課税対象となり、課税明細書にも載ってくるようになった、というわけです。

さて、お墓があった土地の登記情報を調べてみると、名義はAさんの祖父(明治生)のままでした。今でこそ、不動産の所有者や納税義務者の情報は、市の税務課がコンピューターできちんと管理していて、相続登記をする際に、被相続人名義の不動産をもれなく全て把握することは簡単ですが、昔は紙の台帳で管理していた時代でしたから、なかなか大変だったのでしょう。祖父名義の土地で残っているのはここの1筆だけで、他の土地はきちんと相続登記が済んでいますから、墓地として使用されている間は非課税だったこの土地は、課税明細書に載っていなかったことが原因で、相続登記すべき不動産からもれてしまったと考えられます。

 

◎共有林や道路(私道)も要注意!

高山では、地域の住民が共同で近隣の山林を共有している場合がよくあります。また、自宅前に敷設した道路は、道路に面しているご近所さん数人で共有名義にしてある、というケースもあります。こういった共有不動産の場合、固定資産税課税明細書は共有者のうち、届出されている代表者1名に送付されるし くみなので、注意が必要です。

不動産の所有者が亡くなって相続登記をしようと思うが、被相続人の不動産は、固定資産税課税明細書に載っているものが全てだと思い込んでいた相続人が、調べてみると、実際は共有林や共有道路があることが判明し、驚いた…という事例は珍しくありません。

 

◎もれなく所有不動産を把握する方法は?

所有している不動産が、固定資産税課税明細書に載っている不動産だけとは限らないことは、前述したとおりです。では、もれなく把握するにはどうすれば良いのかといいますと、登記をする際の必要書類「固定資産評価額通知書」を市の税務課に申請する際に、「被相続人名義の不動産全部(共有も含む)」と申請することです。

所長の一言 令和元年11月

8%?10%?一体どっち・・・?」判断に迷う食料品の消費税について

 

11月も下旬となり、そろそろ年の瀬の足音がきこえる季節となりました。

年末も近づくと、今年はおせち料理をどうしようかとチラシや広告を眺める機会も増え、子供の頃、おもちゃ屋のチラシでクリスマスプレゼントを眺めていた時のようなワクワク感を感じるのは私だけでしょうか?

 

さて、おせち料理といえば、「我が家は全て手作り」という方もいらっしゃるかとは思いますが、お店のおせち料理を購入する場合は、基本的にお店で購入し、家で食べる商品ですので、消費税は軽減税率が適用され、税率8で購入することができます。ただし、「料理+高価な重箱」のように、食品とある商品がセット販売されているとみなされるような場合は、「一体資産」に分類され消費税10で課税される可能性があります。

国税庁のお知らせに、『軽減税率(8%)の対象品目として、飲食料品と一体資産が含まれ、一体資産とは、おもちゃ付きのお菓子など、食品と食品以外の資産があらかじめ一体となっている資産で、そのうち、税抜価額が1万円以下であって、食品の価額の占める割合が2/3以上の場合に限り、全体が軽減税率の対象となる』という記述があります。

なんだか分かりにくい説明ですが、この理論に当てはめると、おせち料理も簡易的な包装材料で販売する場合は、軽減税率8%が適用される。ただし、おせち販売でよくみかける、「高級重箱入(例えば、飛騨春慶塗重箱や九谷焼重箱etc)」をうたって販売する場合は、おせち料理という食品を販売する場合でも、消費税率は10%になることが判断できます。

これは食品と抱き合わせて、販売効果や節税効果を狙う可能性を封じた対策であるとは考えますが、相変わらず基準が分かりにくく、曖昧感は否めません。

以上のように、例え軽減税率対象品目の飲食料品でも、販売する際の容器・包装材料によっては、軽減税率対象外になりますので、ご注意ください。

 

ちなみに、皆様ご存知「グリコのおまけ付きキャラメル」の適用消費税率を調べたところ、この商品は「一体資産」にあたりますが、おまけの価格が1/3以上と推定されるため、10%適用説が有力でしたが、見解によっては軽減税率適用説も見受けられ、複雑な心境になりました。

阪本司法書士事務所 令和元年10月

【今月のテーマ】『成年年齢引下げについて』その2

◎「成年年齢の引下げ」による懸念について

令和4年(2022年)4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に変わることは、既に皆様もご存知かと思います。これによって、具体的に何が変わっていくのか、何に気を付けるべきかを、考えてみたいと思います。

 

(1)18歳から契約当事者になる

・・・現在は20歳未満の未成年者が契約をしても取り消しができますが、成年年齢引下げ後は、高校3年生でも18歳なら「成人だから」と契約取り消しができなくなるのです。

 

(2)18歳からクレジットカードの申込みができる

・・・未成年者であれば親権者の同意が必要ですが、成年年齢引下げ後、18歳になれば親の承諾なしでクレジットカードの申込みができます。若い世代のクレジットカードによる多重債務・自己破産が益々増えるのではないかと懸念されています。

 

世の中では今現在も悪徳商法が後を絶たず、あの手この手で増えているのが現状ですし、若い世代を狙った「デート商法」などのように、半ば詐欺のような手段で契約を強要するケースも少なくありません。

人生経験が少ない若い人は、このような悪徳商法を見分ける能力が低いので、易々と引っかかってしまうことが多いのです。 特に最近はインターネットを使った詐欺商法が増えており、「ワンクリック詐欺」などがその例と言えます。

また、就職を意識し始めた大学生や高校生に対し、「資格商法」などの詐欺も発生するでしょう。現在、20代の方がこういった悪徳商法のターゲットとして被害に遭っているのですが、成年年齢が引き下げられると、悪徳商法のターゲットが広がることが心配されます。

 

◎「教育で対応」って言うけれど…

このような不安に対し、政府は「教育で対応」と述べているようです。

具体策としては、高校生に注意を促すため学校内に掲示するポスターや、教員から生徒に注意を促してもらうためのチラシを作成して配布したり、校内で消費者教育に関する講習会を実施したりしていくようです。

私はこういった対策が役に立たないとは思いませんが、若者をカモにしようと狙っている悪徳商法業者からの被害を、完全に防げるとも思えません。

皆様はこの問題について、どう考えられますか?

所長の一言 令和元年10月

先日の台風19号では、全国的に甚大な被害があり、被災された方々に謹んでお悔やみを申し上げるとともに、一日も早い復旧を心より祈念申し上げます。

特定空き家にかかる固定資産税について

皆さんは、土地の上に住宅が建っている場合、軽減措置によって固定資産税が減額されていることはご存知でしょうか?更地にすると固定資産税が高くなってしまうので、相続などで引き継いだ住宅付土地をそのままにしている「空き家」が増加しており、岐阜県下でも問題になっています。

平成27年度の税制改正で、管理不十分な空き家の敷地に対して固定資産税・都市計画税の軽減の適用対象外とする改正が行われ、下記の4つの状態のいずれかに該当する場合には、「特定空き家」に指定され、固定資産税軽減措置の対象から外されます。その場合(敷地面積は200㎡とします)は、翌年の固定資産税は前年の4倍以上の増額となる可能性もあります。

     ◎「特定空き家」に該当する要件

     ①倒壊等著しく保安上危険となるおそれがある状態

     ②そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態

③適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

特定空き家に指定されないようキチンと管理できればよいですが、管理が難しい場合には、譲渡することが考えられます。平成28年に創設された「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」により、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができますが、これには一定の要件があるため、注意が必要です。

現在、空き家を所有している方や、相続が発生すると空き家となる家屋を所有することが見込まれる方は、建物を取り壊して売却するか、あるいは耐震改修等の修繕を行い有効活用するべきかを検討し、特定空き家に指定されることのないよう、何らかの対策が必要です。

 

さて、来月11月8日(金)、高山市民文化会館にて、「あなたと家族のための家じまい~空き家対策のための収納・整理・税金のお話~」と題した空き家対策セミナーがあり(主催:岐阜県)、私も講師を務めることとなりました。上記の内容等を説明する予定です。ご興味ありましたら、是非ご参加ください。

阪本司法書士事務所 令和元年9月

【今月のテーマ】『最近あった相続登記に関する話題』

◎父の相続登記は全部済ませたはずなのに…

最近、高山市内にお住いのAさんという方から、相続登記に関するご相談を受けました。Aさんのお母様が今年になって亡くなられ、お母様名義の不動産登記の名義変更の件でお越しくださったのですが、登記情報を調べてみますと、30年前の平成元年に亡くなったお父様名義の土地(旧上宝村地区)が、1筆だけ残っていました。

お父様名義の不動産は他にもたくさんありましたが、亡くなった後、きちんと相続人間で遺産分割協議をして、相続登記も全部済ませたはずなのに、どうして1筆だけ残っているのだろう?ということでお話しを伺うと、高山市と旧上宝村の市町村合併前は、その土地は固定資産税課税明細書に載っていなかったのに、合併後から急に出てくるようになって、不思議だなぁと思っていた…ということです。

おそらく、合併前の旧上宝村では、その土地は農地で面積も小さく、評価額が少額だったため、固定資産税が免除されていたのでしょう。それで、課税明細書にも掲載されていなかったので、お父様が亡くなられた時の相続登記の際に、登記すべき不動産の中からもれてしまったのではないかと思われます。

合併後の高山市では、その上宝地区の土地についても課税されるようになり、「課税明細書に今まで出てこなかった土地が急に出てきた」という訳です。

 

◎保管してあって良かった!30年前の「相続関係書類」

さて、お父様名義のこの土地ですが、1筆だけとはいえ、いざ相続登記をしようと思うと、被相続人(お父様)の出生~死亡までの戸籍謄本、相続人の戸籍、遺産分割協議書と印鑑証明書といった「相続関係書類」が、一式全て必要になります。これをイチから揃えようと思うと、費用も時間もかなりかかってしまうので、なかなか大変なことです。

ところが幸いなことに、Aさんは30年前にお父様が亡くなった際の「相続関係書類」一式をきちんと保管していてくださったのです。戸籍謄本も印鑑証明書も、全て30年前の日付ですが、全く問題ありません。

 

このように、何十年も後になって役に立つケースも実際にありますので、「相続関係書類」は、是非大切に保管して頂きたいと思います。

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