阪本司法書士事務所 令和元年9月

【今月のテーマ】『最近あった相続登記に関する話題』

◎父の相続登記は全部済ませたはずなのに…

最近、高山市内にお住いのAさんという方から、相続登記に関するご相談を受けました。Aさんのお母様が今年になって亡くなられ、お母様名義の不動産登記の名義変更の件でお越しくださったのですが、登記情報を調べてみますと、30年前の平成元年に亡くなったお父様名義の土地(旧上宝村地区)が、1筆だけ残っていました。

お父様名義の不動産は他にもたくさんありましたが、亡くなった後、きちんと相続人間で遺産分割協議をして、相続登記も全部済ませたはずなのに、どうして1筆だけ残っているのだろう?ということでお話しを伺うと、高山市と旧上宝村の市町村合併前は、その土地は固定資産税課税明細書に載っていなかったのに、合併後から急に出てくるようになって、不思議だなぁと思っていた…ということです。

おそらく、合併前の旧上宝村では、その土地は農地で面積も小さく、評価額が少額だったため、固定資産税が免除されていたのでしょう。それで、課税明細書にも掲載されていなかったので、お父様が亡くなられた時の相続登記の際に、登記すべき不動産の中からもれてしまったのではないかと思われます。

合併後の高山市では、その上宝地区の土地についても課税されるようになり、「課税明細書に今まで出てこなかった土地が急に出てきた」という訳です。

 

◎保管してあって良かった!30年前の「相続関係書類」

さて、お父様名義のこの土地ですが、1筆だけとはいえ、いざ相続登記をしようと思うと、被相続人(お父様)の出生~死亡までの戸籍謄本、相続人の戸籍、遺産分割協議書と印鑑証明書といった「相続関係書類」が、一式全て必要になります。これをイチから揃えようと思うと、費用も時間もかなりかかってしまうので、なかなか大変なことです。

ところが幸いなことに、Aさんは30年前にお父様が亡くなった際の「相続関係書類」一式をきちんと保管していてくださったのです。戸籍謄本も印鑑証明書も、全て30年前の日付ですが、全く問題ありません。

 

このように、何十年も後になって役に立つケースも実際にありますので、「相続関係書類」は、是非大切に保管して頂きたいと思います。

所長の一言 令和元年9月

いよいよ10月より消費税率が引き上げられます。

軽減税率が適用される飲食業界では、10月からの大手企業のメニュー表示の方法等で、新消費税率に関するニュースが良く取り上げられており、今回の消費税率改正が抱える課題が露呈しています。

ところで、消費税の改正があると、高額な商品やサービスをその増税前に購入することを指す、いわゆる「駆け込み需要」が起きますが、今回の改正では目立った駆け込み需要は見られないと報じられています。

そのような状況下で、10月からの消費税増税対策で、経済産業省からキャッシュレス・消費者還元事業として、消費税率引き上げ後の一定期間に限り、中小・小規模事業者によるキャッシュレスによる決済方法を申請した場合、ポイント還元を支援する事業を進めています。

要点を説明しますと、2019年10月から2020年6月の9カ月間、事前に登録申請した中小企業(業種は限定)で、商品やサービスをクレジットカードや電子マネー等の、現金を使用しない方法で決済すると、その事業内容によって5%または2%が消費者に還元されるという制度です。

消費者にとってはメリットのある制度のように感じられますが、事業者側にとっては、登録申請しないことにより、その制度が利用できる他社と比較されますし、制度が利用できるようにするために、一部補助が出るとしても、決済端末の購入等の導入コストがかかってしまうことが懸念されます。導入後も決済手数料の一部補助はありますが、期間終了後は、事業者側で負担しなければいけません。また、電子マネーを導入する際は、現金預金ではないため、安全性のリスクも考慮しなければいけません。

この制度は、政府側が「この制度を実施することで、中小・小規模事業者における消費喚起を後押しするとともに、 事業者・消費者双方におけるキャッシュレス化を推進する」ということですが、引き上げ後の消費の冷え込みに対する、急場しのぎな政策に感じられます。またこの事業に対する予算は、なんと2,798億円なのです・・・

10月からの消費税率の改正は、複数税率であったり、上記の内容なども混在するため、戸惑うことも多々ありますが、弊社としてもお客様に混乱の無いよう努め、また弊社内部でも適切な処理と申告を行うよう努めて参りたいと考えています。

※この記事は、2019年9月現在の法令を基にしています。

阪本司法書士事務所 令和元年8月

【今月のテーマ】『成年年齢引下げについて』その1

◎「成年年齢」はいつから変わる?

明治時代から今日まで約140年間、日本での成年年齢は20歳と民法で定められていましたが、今般この民法が改正され、令和4年(2022年)4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に変わります。これによって、令和4年4月1日に18歳、19歳の方は同年4月1日に新成人となります。現在未成年の方は、生年月日によって新成人となる日が、次のようになります。

 

生年月日              新成人となる日     成年年齢

平成14年4月1日以前生まれ             20歳の誕生日     20歳

平成14年4月2日~2003年4月1日生まれ      令和4年4月1日       19歳

平成15年4月2日~2004年4月1日生まれ      令和4年4月1日       18歳

平成16年4月2日以降生まれ              18歳の誕生日    18歳

 

◎成年に達すると何が変わる?

未成年者の場合、契約には親の同意が必要です。もし、未成年者が親の同意を得ずに契約した場合には、民法で定められた「未成年者取消権」によって、その契約を取り消すことができます。この未成年者取消権は、未成年者を保護するためのものであり、未成年者の消費者被害を抑止する役割を果たしています。

成年に達すると、親の同意がなくても自分で契約ができるようになりますが、未成年者取消権は行使できなくなります。つまり、契約を結ぶかどうかを決めるのも自分なら、その契約に対して責任を負うのも自分自身になります。

契約には様々なルールがあり、そうした知識がないまま、安易に契約を交わすとトラブルに巻き込まれる可能性があります。社会経験に乏しく、保護がなくなったばかりの成年を狙い打ちにする悪質な業者もいますので、注意が必要です。

 

◎養育費はどうなる?

子供の養育費について、例えば「子供が成年に達するまで養育費を支払う」との取決めが行われていたとします。成年年齢が引き下げられた後、このような取決めはどうなるのでしょうか。取決めが行われた時点の成年年齢が20歳だとしたら、成年年齢が引き下げられたとしても、従前どおり子供が20歳になるまで養育費の支払義務を負うことになると考えられます。

なお、今後、新たに養育費に関する取決めをする場合には、「(大学を卒業する)22歳の3月まで」といった形で、明確に支払期間の終期を定めることが望ましいと考えられます。

所長の一言 令和元年8月

二代目経営者に大切なこと

 

定期購読している会計事務所向け機関紙に、二代目所長の悩みとして、事業承継から1年経過したが、先代の影響がいまだに強く残っており、顧問先や職員に自分の声が届かないという事例があり、少し気になりその記事を読みました。

どうやらその二代目所長は、自分の特色を出すために、前の所長がやっていなかったことを、提案・提供し過ぎていることに、周囲は不満を持っているということが原因でした。そのアドバイスとして、引き継いだ早々から自分の特色を出すのではなく、まずは前の所長のやっていたことをきちんと引継ぎ、その後で自分の特色を出した方が、周囲には理解されやすいと書かれていました。また、前の所長が事業を行っている間、モットーにしていた『経営理念』を二代目所長もキチンと理解し、大切にすると良いとも書かれていました。

この事例は会計事務所だけの問題ではなく、事業承継を行った会社、または行う予定の会社にとって大切なことだと考えられます。事業承継が上手くいかないケースは、先代の経営理念や経営ノウハウ、取引先との顔つなぎ等をおろそかにして、自分の色を出すことに執着してしまい、周囲と不調和が生じ、今まで順調だった事業も上手くいかず、事業承継も失敗してしまうことが考えられます。経営力や求心力は先代の方がまだまだベテランですから、そこから色々なことを学び、時期が来たら、本格的に自分の特色を生かしていければよいのではないでしょうか。

ちなみに私も、父から事業を引き継いだ二代目所長ですが、上記の点は意識的に大切にするようにしています。前の所長のころから事務所には『経営理念』が掲げられており、それも変えることなく受け継いでいます。

 

前の経営者が引退を考え、これからは次の経営者が事業を舵取りしていく時代へと入っていきます。経営というものに正解はありませんが、二代目経営者は事業を上手く引き継ぎ、前の経営者や取引先、周囲の方々皆さんが、幸せになれる経営を行っていければ最高ですね

阪本司法書士事務所 令和元年7月

【今月のテーマ】

『アパート・借家・貸駐車場など収益不動産の相続登記について』

 

相続登記は義務ではなく、いつまでにやらないといけないという制限も罰則規定もないことはこのコーナーでも触れていますが、アパートや借家、貸駐車場など「家賃」や「地代」が発生する収益不動産に関しては、相続登記を速やかに行うことが貸主・借主双方にとって大変重要になりますので、今回はその点を具体的な事例でご紹介します。

 事例:家賃月額9万円の借家の所有車が亡くなり、相続人は3人。

       この場合、家賃は誰のもの?借主は誰に賃料を払ったらよい?

1.遺産分割協議前

判例では「アパート・借家・駐車場などの賃料債権は金銭債権であって、相続発生と同時に共同相続人各々に帰属してしまう性質の財産であり、遺産分割の対象にはならない」とされています。よって、各相続人は3万円ずつ家賃を請求する権利があるので、借主は、3人の相続人に各3万円ずつ家賃を支払わないといけないのです。しかしこれは借主にとって大変な負担ですので、誰が借家の所有権を相続するか決まるまでは、家賃を法務局内にある供託所に「供託する」という方法があります。

 

2.遺産分割協議後

遺産分割協議後に発生する賃料は、不動産の所有権を取得した相続人のものになります。なお、不動産を相続によって取得した場合に、新賃貸人として借主に対し賃料を請求するには、相続による所有権移転登記を済ませておく必要があります

判例でも、「借主は、相続による所有権移転登記を済ませた新賃貸人へ家賃を支払うべき」とされています。ですから借主さんを困らせないためにも、大家さん側に相続が発生した場合は、速やかに遺産分割協議と相続登記を完了させる必要があるのです。

その上で、自主管理の場合には大家さん自らが、管理を委託している業者があればその不動産業者が「賃貸人の変更通知」を出すことになると思います。

 

このように、相続財産の中に収益不動産が含まれる場合には、なるべく早く遺産分割協議を済ませて相続登記を完了させないと、家賃や地代をめぐって、貸主・借主双方が困ることになりますので、ご注意ください。

 

 

 

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