阪本司法書士事務所 令和3年7月

【今月のテーマ:「デジタル遺産」の相続について ~その2~

 

前回は、昨今問題になってきたデジタル資産(具体例:ネットバンク・仮想通貨・各種ポイント・マイレージ・電子マネー等)の相続についてご紹介しました。今回は、デジタル遺産に関する無用のトラブルを避けたいならば、是非とも検討しておくべき点をご紹介したいと思います。

 

取るべき対策

財産の持ち主と相続人とで取るべき対策は異なりますが、以下を検討しておくといいでしょう。

 

財産の持ち主の対策(被相続人)

①生前にデジタル遺産をノートに書き記しておく

②ID・パスワードも記載し、変更の都度メモを残す

③ハードウェアウォレットには「仮想通貨」などのシールを貼る

④デジタル遺産をなるべくリアル店舗のある銀行・証券会社に預け替える

⑤ハードウェアウォレットにある仮想通貨を日本の主要な取引所に移す

⑥ID・パスワードなどを記載したノートやウォレットを金庫に保管する

 

財産を引き継ぐ側の対策(相続人)

①普段の会話にデジタル遺産の話を取り入れ、持ち主が話しやすい状態を作る

②デジタル遺産に関する情報を会話から把握する

③生じうるトラブルによっては相続放棄も検討する

④遺産分割協議書作成の際は、後で遺産が見つかる可能性も考慮する

 

デジタル遺産は目に見えないものだからこそ、万一の際の余計なトラブルを回避するためにも、両者がこの存在とそれが及ぼしうるリスクについて、生前の内から気を配っておくことをおすすめします。

身近な事例として、スマホで海外の仮想通貨を所有していた方が亡くなり、その相続手続きをしたいのだが、実態が良く分からずなかなか手続きが進まない。手続きが完了するまでは、スマホを解約したくても解約できず、毎月の使用料をずっと支払い続けなければならないのでもったいない・・・と嘆いていらっしゃる方がいます。デジタルは便利ですが、「重要な事項はノートにきちんと書いて、後に残された人が見て分かるようにしておく」という昔ながらの「アナログ手法」も大切だと思う今日この頃です。

所長の一言 令和3年7月

インボイス制度についての具体的事例

 

先月はインボイス制度の概要についてご説明しましたが、今月は実際にインボイス制度が始まった際、適格請求書の発行事業者から物品・サービスを購入した場合とそうでない場合とを比較してご説明します。(便宜上、原則課税制度・消費税率10%を前提としています)。

消費税は制度上、商品等を販売した際預かった消費税から、商品等を購入した際支払った消費税を差し引いて納税します。消費税率を10%とした場合、年間売上11,000あるAさんは消費税を1,000預かっていることになります。インボイス制度を導入しているBさんと取引している場合、払った消費税が500認められるので、1,000-500=500消費税を納めることになりますが、一方インボイス制度を導入していないCさんと取引すると、適格請求書等が発行されないため、支払った消費税500が認められず、1,000の消費税を納税することになります。

BさんとCさんが同業他社の場合、よほどのことがなければ、Aさんは結果的に納税が少なくなるBさんと取引することが予想されるため、Cさん…いわゆる免税事業者も、インボイス制度が始まる令和5年10月には課税事業者となるか否かの選択をしなければいけません。

ただし、一定の条件下において、免税事業者との取引でも、令和5年10月~令和8年9月までは仕入税額相当の80%、令和8年10月~令和11年9月までは仕入税額相当の50%は仕入税額として控除できるとされています。

 

余談ですが、現在発表されている特例として、古物販売業者(例:リサイクルショップ)は、免税事業者である個人からの買い付けがほとんどかと思われますが、帳簿のみの保存で消費税の仕入税額控除が認められるとされています。

 

阪本司法書士事務所 令和3年6月

【今月のテーマ:「デジタル遺産」の相続について ~その1~

 

私達の日々の生活において、インターネット環境は必要不可欠なものとなりました。これにより、相続によって引き継がれる遺産には、不動産・預貯金・現金・貴金属・動産といった目に見える現物だけではなく、目に見えない財産である「デジタル遺産」の存在にも注意が必要になってきました。

まず、デジタル遺産の主な種類は、以下のようなものがあります

①金融口座・・・ネットバンク・仮想通貨・FX(外国為替証拠金取引)

②ポイント…各種ポイント・マイレージ

③有料会員サービス…オンラインサロン・動画サブスク・音楽サブスク

④その他…電子マネー・通販サイト

 

近年、故人が残したインターネット銀行の預金口座、証券口座、電子マネー、暗号資産(仮想通貨)などの相続が新たな問題として浮上しています。デジタル資産の最大の特徴は目に見えないことと、その存在を示す実物がないものがほとんどなので、相続人が把握するのが困難だ、という問題点があります。いざ相続手続きをしようと思っても、パソコンやスマートフォンにデータとして記録されている「デジタル資産」をどう引き継ぐのか?デジタル資産を相続すると、相続税の対象になるのか?そもそも、相続の際にデジタル資産の存在に気付かない場合もあるのでは・・・?などなど、少し考えただけでも、疑問がどんどん沸いてきますね。

 

まずは、デジタル遺産も通常の遺産と同じく、財産の持ち主が亡くなれば全て相続の対象となるのか?という疑問がありますが、実はデジタル遺産の相続についての法整備は、まだまだ進んでいないのが現状で、相続の対象となるのかならないのか、不透明な部分も未だに多くありまして、個別に確認を要するような状況なのです。

しかし、その一方で仮想通貨(ビットコイン)の相続に関しては、国税庁が2018年11月に手引きを示し、被相続人の「遺産」として相続税の課税対象となることが明示されましたので、注意が必要です。

 

次回は、デジタル遺産に関する無用のトラブルを避けたいならば、是非とも検討しておくべき点をご紹介したいと思います。

所長の一言 令和3年6月

『インボイス制度』 令和3年10月から登録申請書受付開始!

 

最近、国税庁から表題のパンフレットが事業者宛に送付されていることもあり、「インボイス制度って何?」というご質問を受けることが多くありますので、今回は概要をご紹介したいと思います。

 

一般的に『インボイス』とは、輸出入の際、通関手続きに必要な書類で、価格や決済方法・保険の金額等が記載された書類を指しますが、今回ご紹介する『インボイス』とは、令和5年10月1日から始まる新しい消費税制度において、取引内容や消費税率、消費税額等の記載要件を満たした請求書(「適格請求書」)のことで、これを定められた方法で発行・保存する制度を『適格請求書保存方式(別名:インボイス制度)』と呼びます。

 

また、インボイスを交付できるのは、適格請求書発行事業者に限られており、この適格請求書発行事業者の登録が始まるのが、今年の10月1日からです。登録申請を行うと登録番号が頒布され、自社の請求書や領収書にその登録番号を記載し運用していくことになります。また、特に注意すべき点は、買い手側は、適格請求書発行事業者から購入した場合にのみ、課税仕入にすることができるという点です。

上記も含めて、インボイス制度での注意点等詳細は、また次号でご紹介します。

登録申請は、原則令和5年3月31日までに行わなければなりません。お客様には順次ご案内を進めて参りますので、宜しくお願い致します。

 

 

阪本司法書士事務所 令和3年5月

【今月のテーマ:「相続登記を義務とする法律」がいよいよ成立しました】

 

以前からこちらのコーナーでもご紹介してまいりましたが、令和3年4月21日、「民法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第24号)及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(令和3年法律第25号)が成立しました(同月28日公布)。

 

両法律は、所有者不明土地の増加等の社会経済情勢の変化に鑑み、所有者不明土地の「発生の予防」と「利用の円滑化」の両面から、総合的に民事基本法制の見直しを行うものです。 まず、「発生の予防」の観点から、不動産登記法を改正し、これまで任意とされていた相続登記や住所等変更登記の申請を義務化しつつ、それらの手続の簡素化・合理化策をパッケージで盛り込むこととしています。

 

この改正法が施行されると、①相続不動産の取得を知ってから3年以内の所有権移転登記 ②引越しや婚姻・離婚などで不動産登記名義人の住所や氏名が変わってから2年以内の変更登記 を正当な理由がないのに怠った場合、それぞれ①は10万円以下、②は5万円以下の過料を科せられることになります。

このうち、「相続登記を義務とする法律」は、「①改正法の施行に相続が開始した方」は当然のこととして、「②改正法の施行に相続が開始した方のうち、改正法施行相続登記が未了の方」についても改正法の適用がありますから要注意です。

では、既に相続が発生しているが今現在相続登記が未了の方は、いつまでにやればいいのか、という期限についてお伝えしますと、次の通りとなります。

➊ 自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日

➋ 改正法の施行日

➌ 上記①または②のどちらか遅い日から3年以内

つまり、多くの方の場合は、改正法施行日から3年以内に相続登記をすれば、過料が科されることはありません。

 

なお、施行期日は、相続登記申請の義務化関係の改正については、公布後3年以内、住所等変更登記申請の義務化関係の改正については、公布後5年以内の政令で定める日とされていますので、どの法律がいつから施行されるのか、今後とも注意が必要です。

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