阪本司法書士事務所 令和2年10月

【今月のテーマ】『建物の登記について』(その2)

 

先々月(9月号)で「建物表題登記」は、法律で義務付けられている重要な登記だということをご紹介しましたが、「義務化」されているとはいえ、全ての建物が表題登記をしてあるかというと、そうでもありません。特に昭和の時代に建てられた古い建物や、車庫や物置、倉庫といった居宅に付随して後から建てた建物は登記をしていないことも結構あり、これらを「未登記家屋」と呼びます。今回は、この未登記家屋の問題点についてご紹介したいと思っております。

 

まず、登記と固定資産税等の関係ですが、中には未登記家屋には固定資産税等が課されないと思ってみえて、わざわざ費用をかけて建物登記をすると固定資産税等がかかってくるから、登記はしない方が得だ、なんて考える方もいらっしゃいます。しかし、税金を公平に課すという趣旨から、市役所の資産税課では、定期的に担当者が担当区域を見回って、未登記の建物(新築・増築含む)がないかをチェックする業務があるそうです。未登記の建物が見つかった際は、所有者を特定し、課税床面積をきちんと計測した上で、納税義務者に対して固定資産税等を課す仕組みが出来ているのです。

 

さて、未登記家屋でも固定資産税等は払うようになっている訳だし、登記をしないと生じる不都合は、どういったケースが考えられるでしょうか。

建物の所有者が変わった場合、登記がしてあれば、法務局に所有権移転登記を申請すれば名義が変わりますが、未登記家屋はそもそも登記がないので、名義を変えるといっても市役所の課税台帳の名義変更届を出すことくらいしか出来ません。しかし、課税台帳に納税義務者として名前があっても、「自分がこの建物の所有者です」と第三者に所有権を主張することは出来ないのです。

 

建物所有権を主張出来ないということは、例えば、建物を担保に融資を受けようと思っても金融機関は承認してくれませんし、誰かに建物を売りたいと思った時も、「これは私の建物です」という証明は、日本の法律では「登記」ということになっている以上、登記がされていない建物を買う、ということは「他人物売買」になるリスクもあり、通常の買い主であれば、「きちんと売主名義に登記をした上で売ってください」と言われることでしょう。

 

このように、不動産を担保に入れて融資を受ける際や、建物を売買する時、また相続が発生した場面では、やはり登記をしていないことで不都合が生じます。

 

次回は、未登記家屋を相続した場合、手続きはどうするのかをご紹介したいと思います。

所長の一言 令和2年10月

持続化給付金・家賃支援給付金の現状

コロナウイルス感染症の影響で、売上の減少に直面する事業者の事業継続を下支えする目的で給付されている㋐持続化給付金㋑家賃支援給付金ですが、まず㋐持続化給付金の給付実績は10月12日時点での給付件数約354万件、給付額累計約4.6兆円と経産省ホームページにて紹介されています。ちなみに第一次・第二次補正予算で約4.2兆円が確保されていましたが、予算額を上回り、現在は予備費の約10兆円から支給されているようです。

㋑家賃支援給付金は、10月11日時点での給付件数約29.3万件、給付額累計については色々調査しましたが不明でした。

 

㋐持続化給付金の給付までの期間ですが、申請から給付まで14日以内が約68%と迅速な対応がされています。一方、㋑家賃支援給付金については、7月14日から受付が開始され、最初の給付が8月3日以降にされている実績があり、2週間以上はかかるようです。その後も巷では給付が遅いことがしばしば問題視されていますが、10月11日時点での申請件数は約58万件で、給付実績が先ほどの約29.3万件ということですから、約50%が給付済みということになります。

 

㋐持続化給付金は、給付までの期間が短いことはいいのですが、確かに提出する書類も簡便なため、それを狙った不正受給がニュースを騒がせています。ただ、そのようなケースはかなり悪質な場合(はじめからだまし取ってやろうと考えているような)であり、よほどのことが無ければ、警察沙汰になることはありませんので、ご安心ください。

ただ、受給資格が無いのに受給してしまった場合には、返還を求められることが考えられるため、審査基準に則った申請を行うようにしましょう。

 

㋐持続化給付金、㋑家賃支援給付金の申請期間は、それぞれ令和3年(2021年)1月15日受付分までとなっています。期限を過ぎると給付は受けられませんので、受給する見込みの方は、早めに申請されるようくれぐれもご注意ください。

 

参考

経済産業省ホームページ 家賃支援給付金の申請と給付についての現在の状況【2020.10.16更新】

持続化給付金の給付についての現在の状況【2020.10.13更新】

阪本司法書士事務所 令和2年9月

【今月のテーマ】『「訴訟詐欺」にはご注意を!…本物との見分け方…』

 

最近、「訴訟詐欺」と思われる怪しい郵便物(普通郵便の茶封筒)が届いたというご相談を受けました。届いた書面を見せて頂きましたが、内容は、「差出人:東京の弁護士事務所」で、「訴訟をすることになったので手数料と遅延損金を請求する」とか「下記の電話番号に連絡して下さい」というもので、やはり「詐欺」だと思われます。その方は、「これは怪しい」と思って当職に相談して下さり被害には遭っていませんが、一応警察に届けた方がいいだろうということで、警察に持って行かれたところ、全く同じ郵便物がたくさん届いているとのことです。その方だけでなく、飛騨地域にお住いの方々にも無差別に「訴訟詐欺」の郵便物が送り付けられています。皆様方も、弁護士や裁判所をかたって「借金を返せ」「未納料金を払え」「相続権が発生したので連絡するように」といった内容の手紙が届いた場合、詐欺の可能性が高いので十分ご注意下さい。

このような書面が届いた場合、基本的には一切無視し、電話もかけないでそのまま放置して下さい。もしどう対応して良いか分からない場合には、警察や消費生活センターか、弁護士・税理士・司法書士といった法律職に相談して下さい。

 

ちなみに、本当に訴えられた場合には、裁判所から「特別送達」という特別な郵便により通知が配達されます。この「特別送達」は、次のような特徴があります。

 

《「特別送達」のイメージ》 

①「特別送達」と記載された、裁判所の名前入りの封書で送付される。

② 郵便配達担当者が名宛人に直接手渡すことが原則。普通の郵便物のように郵便受けに入れることはない。

③ 郵便配達担当者から「特別送達」を受け取る際には、受け取った人の署名や押印を求められる。

④中に入っている書面には、裁判所で付した「支払督促」や「訴訟の呼出状」等の「事件番号」・「事件名」が必ず記載されている。

 

こうした特徴があるかどうかで、裁判所からの本当の通知かどうかを見分けることができます。

所長の一言 令和2年9月

令和2年10月より酒税率が改定されます

 

令和2年10月1日より、酒税法の税率変更が行われます。この税率変更により、ビール系飲料は一部増税・一部減税、清酒は減税、ワイン等果実酒は増税されることになります。

ここでいうビール系飲料は、ビール・発泡酒・新ジャンルの3つに分けられ(分類は主に原材料の種類や使用比率によっています)、税額にしてビールは図1括弧内350ml、ビール缶にして1缶あたり約77円から約70円に減税、発泡酒はそのまま、新ジャンルいわゆる第3のビールと呼ばれている商品は1缶あたり約28円から約37.8円に増税されます。

 

 

低価格でビールと同じようなテイストで人気を博している新ジャンルですが、今後は、令和8年10月までの6年間にわたり、ビール系飲料はすべて同じ税率に改定されていきます。同じ価格を維持するためには原材料等見直す必要が出てきますし、値上げをすると直に売上高に反映してきますので、製造メーカーは厳しい状況に立たされることが必至です。

 

そうなると製造メーカーは、値上げをするか、製造原価を下げるか、第4のビールを生み出すかに迫られます。そうすると・・・という具合に1つの事象から見えてくることは沢山あるので、こういったニュースを分析することは本当に興味深いと感じる今日この頃です。

阪本司法書士事務所 令和2年8月

【今月のテーマ】『建物の登記について』(その1

今月から何回かに分けて、「建物の登記」にまつわる話題をご紹介していきたいと思っております。建物登記にも色々な種類がありますが、まずは「表題登記」についてです。表題登記とは、建物を新築した時に法務局に申請するいちばん最初の登記で、下の登記簿見本の上部にある「表題部」という枠線内の部分のことで、記載内容は「所在・家屋番号・種類・構造・床面積・所有者」です。

 

この表題登記は、法律によって登記申請が義務付けられており、建物新築後1ヶ月以内に登記申請をしないと、10万円以下の過料を国に支払わなければならないとされています。これは、建物が確かにその場所に存在していることや、納税義務者が誰なのかを国(市町村)が正確に把握し、固定資産税・都市計画税といった税金を間違いなく課すという公益的な理由があるためで、他の登記については任意であるのに対し、この表題登記に関しては特別に義務化されている訳です。

 

ちなみに表題登記の業務は、司法書士ではなく土地家屋調査士の専門になります。では司法書士の業務は何なのか?といいますと、「表題部」が出来た後の「権利部(甲区)…誰が所有者かを記載する部分」と「権利部(乙区)…抵当権・根抵当権・賃借権等の有無を記載する部分」を登記する業務です。

 

さて、このように建物表題登記は法律で義務付けられている重要な登記ですが、中には登記をしていない「未登記家屋」と呼ばれる建物も存在します。次回は、未登記家屋の問題点についてご紹介したいと思っております。

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