阪本司法書士事務所 平成31年3月

【今月のテーマ:『120年ぶりの民法大改正について(その10

民法が大改正される中、相続に関する規定(以下、相続法)も大幅に見直されることになりました。今回の相続法の見直しは、高齢化社会の進展等に対応するもので、多岐にわたる改正項目が盛り込まれています。

今号では2020年4月1日から施行されることが決まった「配偶者居住権」についてご紹介したいと思います。

 

配偶者居住権とは、どんな権利?

相続開始時に被相続人所有の建物に居住する配偶者が、相続開始後、終身その建物を無償で使用することができる権利です。

 

 配偶者居住権創設の背景

これまで、被相続人の遺産が自宅の他にはめぼしいものがないというケースでは、他の相続人に対する代償金を支払うための現金や預貯金がないために、配偶者が自宅を相続することができず、自宅を手放さざるを得ないという事態が生じていました。

また、「自宅を配偶者以外の者に相続させる」との遺言がある場合では、自宅を相続した相続人から立ち退きを求められると、配偶者は立ち退かざるを得ませんでした。

しかし、高齢者が住み慣れた自宅を離れることは、精神的にも肉体的にも負担が大きく、このような事態が生じないようにする必要があります。

そこで、改正相続法では「居住権」という権利を新たにつくり、「所有権」と「居住権」を分けることで、この問題を回避できるという考えに基づき、「配偶者居住権」の制度が設けられました。

 

配偶者居住権の成立要件

配偶者居住権は、次の要件が揃えば成立することになります。

①配偶者が、被相続人の遺産である建物に、相続開始の時に居住していたこと

②以下の(ア)(イ)(ウ)のいずれかを満たすこと

(ア)遺産分割によって、配偶者が配偶者居住権を取得する

(イ)配偶者居住権が遺言によって遺贈の目的とされる

(ウ)被相続人と配偶者間で、配偶者居住権を取得させる旨の死因贈与契約をする

 

今回ご紹介した「配偶者居住権」は、存続期間は原則的に配偶者の終身とする長期的な権利ですが、これとは別に「配偶者短期居住権」という制度も創設されていますので、次号で引き続きご紹介いたします。

事務所案内

阪本会計事務所
〒506-0054
岐阜県高山市岡本町3-242
[TEL] 0577(33)2605
[FAX] 0577(33)2589

外観写真

アーカイブ