阪本司法書士事務所 令和3年3月

【今月のテーマ:「相続土地国庫帰属法案」について】

 

現在、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(以下、「相続土地国庫帰属法案」)の新設が検討されていますが、今回はこの法案についてご紹介したいと思います。この法律を新設する目的は、『相続等により土地の所有権を取得した人が、その土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度を創設することで、所有者不明土地の発生の抑制を図ること』、となっています。

一見すると、「相続する予定の土地があるが、売るにも売れない土地で管理も大変だし、固定資産税等を払うコストもかかるし困っていたが、これからは国がもらってくれるのか」と誤解されそうですが、「相続土地国庫帰属制度」には、いくつかの条件が見込まれており、国に引き取ってもらうといっても決して簡単ではなく、高いハードルが想定されるようです。

 

 ◎相続土地を国庫に帰属させるための条件とは?(現段階での法案)

(1)更地であること→建物があれば解体する必要あり。

(2)抵当権等の担保権が設定されていないこと →担保権抹消登記をする必要あり。

(3)境界の争いがないこと →境界確定を土地家屋調査士に依頼する必要あり。

(4)土壌汚染がないこと →土壌汚染がないかの地歴調査やレポート作成の必要あり。

(5)負担金を納付すること→10年分の土地管理費相当額(原野で約20万円、市街地の宅地では約80万円程度)を納める必要あり。

 

これほどの手間と費用をかけて、国に土地を引き取ってもらいたいと思う方が、果たしてどのくらい現れるでしょうか。そもそも、今回の改正法案の一番の軸は、「相続登記の義務化」なのです。相続登記をするには、いくつもの書類をそろえ、登録免許税や司法書士手数料を払う必要があり、こうした煩わしさから、何代にもわたって相続登記が放置され、その結果所有者不明となった土地の面積は、現在、九州の面積と同程度まで膨れ上がっているそうで、国としては、今後は強制的に相続登記をするよう促す方針で、「相続土地国庫帰属制度」については、国が土地を引き取らなくて済むように、わざと困難な条件を出しているともいえますね。

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