阪本司法書士事務所 令和2年7月

【今月のテーマ】『相続放棄と亡くなられた方の葬儀費用について』

 

今月は、「相続放棄」にまつわる話題をご紹介します。

 

亡くなられた方(被相続人といいます)にプラスの財産よりもマイナスの方が多い(被相続人自身の借金の他、他人の借金の保証人になっていた場合等)といった事情から、相続したくない場合は、家庭裁判所が関与する「相続放棄」の手続きをすることで、その相続に関しては最初から相続人でなかったものとみなされ、財産も債務も一切引き継ぐことはありません。この「相続放棄」の制度自体は、ご存知の方も多いかと思います。

 

さて、この相続放棄をする場合の注意点としては、「相続財産の処分」をした後ではできないということです。ここで問題となるのは、被相続人の葬儀費用を被相続人の手許現金や預貯金から支払った場合や、被相続人が葬儀会社の互助会に加入していたため、そこの互助会積立金を使って葬儀をした場合は、「相続財産の処分」にあたり、相続放棄をしたくても出来ないのか?という点です。

 

この問題について、明らかな規定は法律上存在しませんが、過去の判例では、「葬儀費用を支払うことは道義上必然であるため、葬儀費用の支払いが一概に相続財産の処分に該当するとはいえない」とされており、現在でもそのように解釈されています。

 

しかし、葬儀費用が相続財産の処分に該当しないからといって、必要以上に豪華な葬儀を執り行った場合でも、相続放棄は認められるのでしょうか?

この点についても、法律で明確に定められてはいませんが、社会的に相応と考えられる必要最低限の支出であれば、相続財産の処分には該当しないと解釈されています。

では、「社会的に相応と考えられる葬儀費用の金額」とは、一体いくらなんでしょうか。これについても、法律に明確な規定はないのですが、葬儀費用に数百万円もかけてしまうと、社会的に相応であると考えることは難しいのは明らかです。

もちろん、各ご家庭で状況は異なりますから、100万円未満が一応の目安と考えてよいでしょう。

 

また、葬儀を執り行うと、参列者から香典や弔慰金を受け取ることが多いかと思います。一般的に、香典や弔慰金は死者の霊前に供える金銭ですが、「葬儀で出費がかさむだろうから」というような、ご遺族へ向けた助け合いの意味も込められた金銭です。

 

そのため、まずは、この香典や弔慰金から葬儀費用を捻出すべきです。そして、その不足額がある場合に、被相続人のお金から工面するようにしましょう。でないと、相続財産を処分したと判断され、相続放棄できなくなりかねませんので、注意が必要です。

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